愚なる妻のレビュー・感想・評価

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3.5エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督&主演の超大作

2022年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督&主演の超大作。 しかし、元々5~6時間などあったバージョンを映画会社の要請で削除して削除したらしく、壮大なるセットでのモブシーンなどが垣間見られるだけに勿体ない。 IVC発売のDVDにて鑑賞したが、冒頭に淀川長治さんの解説があって「そして、この後、もんのすごいことになっていくんですネ」と言った感じでネタバレ無くて幸いだった(笑) また、淀川さんの解説に続いて、本作のメイキング映像も収録されていて、その後ようやく本編に入る。 えせ貴族が次々と詐欺を行っていく末路を描いた映画。 カラムジン伯爵(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)は仲間の女性2人と共に、贋札で儲けたり、女性を騙して金儲けしたりしていた。 伯爵はマルーシュカという女中と結婚の約束をして、彼女が12歳の時から20年かかってコツコツと貯めたお金も騙し取る。 また、米国の重要人物の夫妻の妻に、伯爵がすり寄っていき大金を得ようとするのだが、伯爵とアメリカ人の妻との逢瀬を見て「騙された!」と知った女中マルーシュカが凄い行動をとる。そして……。 エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督作は、本作の他には『グリード』しか観ていない。 後年の出演作は何本か観ているものの、凄い映画人だったのだろうな…と思わせられる映画創世記の偉大な人なのだろうが、キネマ旬報社刊「知っておきたい映画監督100 外国映画編」では紹介されていない。不思議。

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たいちぃ

4.5個性極まるシュトロハイム監督の残虐で非情な人間ドラマの伝説映画

2022年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アメリカ無声映画期に多額の制作費と桁外れな長尺の撮影フィルムで話題をさらったと言われる作品で、シュトロハイムの名と共に映画史に遺る異色大作。但し本来の34巻の超大作は、映画会社ユニバーサルの意向により公開当時は15巻版に縮小され、更に他人(A・D・リプリー)の再編集が加えられた11巻でしか現存しないのが残念でならない。それでも異端にして完全主義者のシュトロハイムの強烈で大胆な演出は、同時期のD・W・グリフィス監督やセシル・B・デミル監督とは全く趣を異にして、見応えの点ではとても満足した。特に残虐で非情なカラムジン伯爵に憑依したようなシュトロハイムの恐ろしい演技が凄い。当時の検閲や批評家が衝撃を受けたという逸話も頷ける。悪徳の主人公を徹底的に描き切った恐怖映画の人間ドラマ、その迫力に圧倒される。   1978年 10月31日 フィルムセンター この映画の印象を言葉に表現するには語彙力が及ばない。敢えて例えれば、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」を更に極悪非道にした世界観であるし、ギレルモ・デル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」からファンタジー色を一切取り除いたおどろおどろしさと言えばよいか。ジャン・ルノワール監督の「大いなる幻影」とビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」のシュトロハイムからは想像できない、グロテスクな演技と存在感が素晴らしい。

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Gustav