「鑑別所に入れるのは、非行の根本的な対策になっていない」大人は判ってくれない 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
鑑別所に入れるのは、非行の根本的な対策になっていない
アントワーヌは非行を重ねた結果、両親によって鑑別所に入れられる。だが、これは彼の更生のための根本的な対策になっていない。根っからの不良というタイプにも見えない彼が非行を繰り返すのは、両親が彼に向き合わないからだ。母親は浮気していて夫婦仲が悪いし、アントワーヌに辛くあたる。父親も週末は出かけてばかり。家庭にも学校にも居場所の無い彼が、その虚しさや寂しさを解消するために非行に走る。だが母親は自分のせいだとは思っておらず「鑑別所で性根を叩き直して欲しい」と頭ごなしに怒る。以上のように考えると、アントワーヌの更生のために本当に必要なのは、つまるところ『愛』なのだと思う。愛が無いと鑑別所を出ても何も変わらないだろう。
今作は子どもの鬱屈とした気持ちを、両親や教師といった周囲の大人との関係から描けていて秀逸だった。
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