「悲しい少年のレジスタンスにあるトリュフォーの映画愛」大人は判ってくれない Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
悲しい少年のレジスタンスにあるトリュフォーの映画愛
誰からも愛されない非行少年のレジスタンス映画。13歳のジャン・ピエール・レオの何処に行けばいいのか判らない不安気な表情が、目に焼き付いて忘れられない。ジャン・ヴィゴの「操行ゼロ」を連想させるフランス映画の精神が息づいていることと、自由で視点の明確な移動撮影の新しい演出が瑞々しいこと。トリュフォー監督の子供たちに注ぐ理解と愛情深さが、自伝映画の枠を超えて、普遍性を持った映像詩になっている。鑑別所を脱走してひたすら走り続けるラストの、顔のアップのエンディングショットの映画らしさ。遊園地の遠心力を利用したアトラクションの描写にも映画愛のオマージュがある。人形劇を観る子供たちの目の輝きを捉えたシーンの素晴らしさ。心ある演出から生まれたヌーヴェル・ヴァーグの名作だ。
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