劇場公開日 2024年6月28日

「ウォルター・ミティ再臨」おかしなおかしな大冒険 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ウォルター・ミティ再臨

2024年7月19日
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鑑賞方法:映画館

大昔TVで一度見て以来、随分と久しぶりの再会である。フィリップ・ド・ブロカ監督とジャン=ポール・ベルモンドのタッグは都合6本あるが、全部見ている。この映画だけなかなか再見できないまま、ずっと大傑作との印象を持ち続けていたのだが、「カトマンズの男」ほどではないかな。
謎のエージェントが超人的な大活躍をするシーンで始まるが、ほどなく実はうらぶれた作家が執筆する作中作であるというネタばらしが…。自らを投影した人物を作品の中でヒーロー化するというのは、ジェイムズ・サーバーの「虹をつかむ男」のウォルター・ミティ氏の妄想癖と同根である。実生活で不愉快な思いをした電気屋や配管工を作中で殺したり、好感を持つ女の子が他の男と仲良くすると、小説でズタボロの目に合わせたりする(ちょっと情けない…)。
ジャクリーン・ビセットはいつになくセクシーな役回り(フィクションでも現実世界でも)。この時既に30歳だが。
原題は“Le Magnifique”で、“すごい”ぐらいの意味だ。“おかしなおかしな”というフレーズがつく邦題の映画は何本かあるが、ピーター・ボグダノヴィッチの傑作「おかしなおかしな大追跡」(1972)の原題は“What's up Doc?”だし、「おかしなおかしな石器人」(1981)の原題は“Caveman”だ。どうやら1963年の「おかしな、おかしな、おかしな世界」が発端と思われる。こちらは原題も“It's a mad,mad,mad,mad world”で、madが四つも付いている。

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梨剥く侍