「【今作は、NYに出現したオーロラによる、30年の時を超えた親子の無線での交信が起こした奇跡の出来事を描く、脚本、演出が秀逸なタイムパラドックスの逸品である。】」オーロラの彼方へ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、NYに出現したオーロラによる、30年の時を超えた親子の無線での交信が起こした奇跡の出来事を描く、脚本、演出が秀逸なタイムパラドックスの逸品である。】
<Caution!内容に触れています。>
■ニューヨークにオーロラが出現した1999年10月10日の夜。
殺人課の刑事のジョン・サリヴァン(ジム・カヴィーゼル)は、火災の際に負傷者を助けようとして殉職した消防士の父フランク・サリヴァン(デニス・クエイド)が愛用していた無線機を発見する。
そのスイッチを入れたところ、聞こえてきたのは1969年10月12日に殉職した父の1969年10月10日に発声した声だった。
30年の時を超え、父との交信に成功したジョンは、未然に父の死を防ごうとするのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・デニス・クエイドと、ジム・カヴィーゼルの演技と共に、この作品の脚本の出来栄えが素晴しい。
タイム・パラドックスモノは、脚本が非常に難しく瑕疵が目立つ事が多いのだが、この作品にはないのである。
・ジョン・サリヴァンの指示により、フランク・サリヴァンが火災の際に逃げるルートを変えた事で生き延びて、30年後の”チビ隊長”と呼んで可愛がっていた息子のジョンに、机に”俺はまだ生きて居るぞ。チビ隊長。”と書いた文字が浮き上がって来るシーンの演出などは、出色である。
・だが、フランクが生き延びた事で過去が変わり、今度は未解決事件である”ナイチンゲール殺人事件”と呼ばれた看護婦を狙った殺人事件の被害者に母ジュリア・サリヴァン(エリザベス・ミッチェル)がなってしまう展開からは、スリリング要素も入って来るのである。
・そして、ジョンとフランクは無線で遣り取りし、ジュリアを殺人犯から救う展開も、ハラハラである。ジョンがフランクに指示し、且つ自分も30年後にその殺人犯を追い付めるシーンなどは、実にスリリングであり、面白い。
そのポイントとなるのが、1969年のワールドシリーズのメッツの試合のプレイを予言して当時の刑事を納得させていく展開が、とても秀逸なのである。
<そして、30年前の父がその犯人の手を撃つと、30年後の犯人の手が消えて行くシーンなどは、タイムパラドックス映画「ルーパー」を思い出す、というか「ルーパー」が影響を受けたのだよね。
そして、ジョンは老いても元気なメッツファンの父フランクと、母ジュリアと、野球を楽しむのである。
親友のゴード(ノア・エメリッヒ:今作の脚本を手掛けたトビー・エメリッヒの弟である。)に30年前に”大人になったらYahooの株を買え‼”と言っておいたために、彼もお金持ちになっているのである。
今作は、NYに出現したオーロラによる、30年の時を超えた親子の無線での交信が起こした出来事を描く、脚本、演出が秀逸なタイムパラドックスの逸品なのである。>