「スピルバーグにも苦手な分野があったか…」オールウェイズ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグにも苦手な分野があったか…
90年の劇場公開以来の再鑑賞。
その際はスピルバーグ作品として
観たのだろうが、
その後はこの映画がスピルバーグ監督作品
との認識から外れていたし、
ダルトン・トランボ脚本映画のリメイク作品
であることも今回の再鑑賞で初めて知った。
しかし、二人の作品にしては、
何かしっくりこない、らしくない作品だ。
冒頭の飛行シーンや、
実際に再現したという山火事の臨場感、
更には細かなウィット等、
流石がスピルバーグ流と思える要素は多い。
しかし、
肝心の恋愛の展開はしっくりこない。
幽霊となった主人公が
あたかも天使から与えられた試練のような、
アドバイスを与える若いパイロットが
ヒロインと恋仲になるという展開や、
終盤にヒロインを愛する男が
消火に行くと言っている場面で、
何故ヒロインが消火に向かう設定に
なるのか、等々
何か作られ過ぎに感じ、
作品の世界へ入り込む支障になった。
そもそもが、
年齢差が原因だろうが、霊になったろうが、
愛する人の幸せを見届けて
主人公が立ち去る話は山のようにあり、
その展開に巧妙さが無い限りは
何の新鮮味も感じない。
スピルバーグ作品を振り返ってみると、
恋愛物はほぼ見受けられない。
パニック物、SF物、戦争物など、
たくさんの名作で魅了させてくれたが、
流石に彼にも苦手な分野があったのかな、
と感じさせる作品だ。
ただ私にとっては、
挿入歌のザ・プラターズの「煙が目にしみる」
を聴いてオールディーズに少し興味を
持ち始める切っ掛けになった作品ではある。
さて、愛する女性が手の届かないところに
行ってしまった場合、
私は、彼女が別の男性を愛する事に
心から祝福出来るだろうか。
ヘップバーンが後半生で見せた
慈愛の精神が求められそうだ。
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