劇場公開日 1998年7月18日

「ホラー度・不気味さは、こちらの方に軍配。」オープン・ユア・アイズ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ホラー度・不気味さは、こちらの方に軍配。

2022年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

『バニラスカイ』のオリジナル。
 リメイク『バニラスカイ』は夢想・仮想の世界。切なく、人生の虚しさが際立ち、その先にあるのは希望か、絶望か。
 オリジナル『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』は悪夢の世界。ひたすら苦しく、おどろおどろしく、怖い。地獄めぐりをしているよう。

「起きて」もしくは「目を開いて(見て)」という言葉の意味付け。
 リメイク『バニラスカイ』は自己中・離人感からの転換も含まれているようにも取れるが、
 オリジナル『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』は目覚めることはできるのであろうか?自業自得とはいえ、恐ろしい…。

前半、映像の切り取り方とか、『バニラスカイ』がかなり『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』を尊重しているのだなあと思う反面、

『バニラスカイ』だけのオリジナルも小刻みに入れ込んでいたのだなあと思う。
 例えば、ヌリアの設定とか。ー『バニラスカイ』の方が無理心中に無理がない。
    ソフィアの性格とか。ー『バニラスカイ』は、(監督?)の理想の女化だそうだ(DVDの解説から)。
    『バニラスカイ』の方が精神科医・夢の位置づけ、人物認証混乱も、フロイトを持ち出したくなる。わかりやすい潜在意識をかなり明白に入れ込んでいる。

でも、『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』のほうが、ホラーチックで、ドキドキ…。
友情も『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』の方が重きを置かれていて、そこは好き。

でも、ラストの選択、『バニラスカイ』の方が、主人公がなぜその選択をするかの説得力があって好き。
 『オープン・ユア・アイズ=アブレ・ロス・オホス』の方は、ラスト、あんなことしなくてもいいんじゃないか?自分の意識を変えるだけでいいのでは?「あなたが思えば、周りはそうなる」って、あの社長も言っていたじゃない。私の理解が足りないのか。

もう一つ、理解できていないのは、あの出来事が分岐点なら、事故は単独事故?それとも…。

軍配は『バニラスカイ』に挙げるけれど、
まあ、『バニラスカイ』は後出しジャンケンだし。

ああ、でも、トム様がリメイクしたい、演じたいと思うだけの映画。
よく思いついたな、この設定。

いろいろと考えさせられます。

ペネロペさんも魅力的だけれど、
ヌリアを演じられた方も魅力的。キャメロンさんと違い、クールビューティで怖い印象と、DV男を思い続ける女性の演じ分けが見事でした。

とみいじょん