オーケストラの少女のレビュー・感想・評価
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テレビの前で 親も子も 涙を止め得ない
ストコフスキーが驚きながら階段の踊り場に立ち尽くし、
その偏屈者の腕がついにタクトを振り始めるとき、
なんだろう・・
親も子も、感動の涙が溢れ出すのです。
子供は子供で泣き、
大人は大人の思いで泣く。
NHK交響楽団のソリストがラジオで語っておられました。彼もやはり音楽家であった父親と共にこの映画をテレビで観たのだけれど、
泣いていることを悟られないように大変だったが、自分もこの映画をきっかけにクラシックの道に入った。
実はN響の仲間たちには「同じ経験」をした者が少なくないのですよと。
そういえばこれ、うちの子たちには観せたんだっけ・・?
無垢な魂で憚らずに泣けた時代。
これこそ珠玉の音楽映画ですよね。
ファンタジアでは、シルエットだけだったが、完全な姿が拝める
チャイコフスキーの5番で始まり、乾杯の歌で終わる。
夢の様な映画だ。ちょっと古すぎるから音がね。
レオポルド・ストコフスキーの指揮をする姿と言えば、ファンタジアだが、すくっと姿勢良く立って、顔をやや上げ気味で指揮をする。ファンタジアでは、シルエットだけだったが、完全な姿が拝める。歴史に残る映画だ。もっとも、レオポルド・ストコフスキーは、色々な事に挑戦していたので、玄人すじでは、アイドル指揮者と思われていた。しかし、そんなこと関係ない。
映画の内容も実に功利主義的で、アメリカらしくて面白い。頑張っている姿が健気で、実に笑える。
音楽映画の名作
音楽映画の名作中の名作です。
大指揮者ストコフスキーの全盛期を映像で見られるだけでも嬉しいのですが、観た人をハッピーにさせるだけのパワーがあります。
嘘が嘘を呼びながらも誠になる可笑しさ、何でも歌にしてしまうタクシー運転手や常に悪戯ばかりしている大金持ち役の名脇役ユージン・ポーレット等のキャラクター設定の妙は、当時の世相の深刻な悪化を考えれば信じられない程の事でこの脚本は凄いです。
‘音楽がある生活’がどれだけ豊かな社会を作り上げるかを教えてくれます。
それは最後にディアナ・ダービンが歌の途中で父親役のアドルフ・マンジューに「笑って!」と合図を送る所からも伺えます。
今は何でも揃う時代なので若い人にはどう映るのかは解りませんが、終盤でストコフスキーに自分達の“音”(想い)を知ってもらう為に必死になって演奏する熱い場面での出演者の生き生きとした顔のカットバツクに、階段を生かした人物の配置と素晴らしいクレーン撮影と演出力は何回観ても感動的です。
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