劇場公開日 1957年7月3日

「西部劇のマスターピースとして絶対に観ておくべき作品」OK牧場の決斗 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0西部劇のマスターピースとして絶対に観ておくべき作品

2019年2月23日
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鑑賞方法:DVD/BD

本物の西部劇
純度100%
いろいろややこしいことはいい
西部劇の男の世界を観たいなら本作だ

西部劇が日本で言うところの時代劇や任侠もののお約束の世界であることが良くわかる
本作を観るとアメリカ人流の任侠とはこういうものかと感じることができる
ジョン・スタージェス監督がそこに力を入れて撮っている作品

決斗に向かう4人が、通りを横一線で進む格好良さ!そしてカメラの横に近づいた時には斜め横の腰よりも低い位置から見上げる構図となる
この時、ワイアット・アープがわずかに前に出ている
その迫力と緊迫感はガンファイト以上だ
素晴らしい演出だ
このシーンは数え切れないくらい多くの作品にオマージュされている

脚本は少々詰め込み過ぎて整理仕切れていない
大きな筋や過去の因縁と背景は、日本でいえば忠臣蔵みたいなレベルでアメリカ人なら誰でも知ってる話だから観客に説明無用と割りきっている

その代わり、ドク・ホリデーとケイトの物語に時間を割いて何故ドクが加勢するに至ったのかの心情を丁寧に描写することに重きをおいている
正直カーク・ダグラスのドクのキャラクターが立ち過ぎて、主人公であるはずのバート・ランカスターが霞んでしまっている
本作でのドクの衣装でないと、今では誰もドクとは認められなくなってしまったくらいだ
もう少しお話を刈り込んでシンプルにして終盤のガンファイトに盛り上げて行けばと悔やまれる
この辺りをスタージェス監督も残念に思っていることだろう

このお話の映画が初めてなら、先にジョン・フォード監督の「荒野の決闘」を先に観て、どのような因縁があるお話なのか予習しておいた方が良いだろう
いきなり本作を観たのなら、お話について行けず楽しめないからだ
そして本作の映像の凄さがより理解できるはずだ
その作品からスタージェス監督も髭剃りシーンをオマージュして敬意を示している

音楽はあのディミトリ・ティオムキン
西部劇とは真逆の人で大丈夫か?と思いきや
いきなり小気味良い主題歌で鼻をあかされてしまう
後年のマカロニウエスタンのエンリオ・モリコーネに影響を与えている
というかこれが出発点だろう
劇伴も本作に重厚感を与え、何より品をもたらしている

さすがアクション映画を撮らせたら当時第一人者のスタージェス監督
素晴らしい名シーン、名構図のオンパレード
後年の西部劇、アクション映画の元ネタの宝庫と言えるだろう
特にマカロニウエスタンは本作が無ければ生まれていなかったかも知れないぐらい計り知れない程の影響を与えている
その事を知らなければ観たことあるシーンばかりの新鮮味のない映画と逆の感想になってしまう

マスターピースとして絶対に観ておくべき作品だ

あき240