大きな翼を持った老人のレビュー・感想・評価
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宗教の発生と収束
これは実は自分たちの姿だと気づいてしまえば、なんとなく居心地が悪くなる。そんな映画です。
嫌な思いをする人も、いるんじゃないでしょうか。
宗教施設には必ず門前町が作られ、栄えます。これ、日本も例外なく。
拝観料、おみくじ、記念グッズのお土産店、食事処に休憩所、BGMのスピーカーに本殿の整備拡張、類似の寄生宗教は集来するし、“客”を取られた旧来の宗教家(神父さん)との軋轢も。そして参拝ツアーから売春宿まで。
宗教は、一大産業です。
南米のノーベル賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの原作。
カトリックのマルケスとしては、宗教の持つ欺瞞性を冷めた目で観察しつつ、信仰の拠り所を求めて右往左往する同朋たち=人間への憐れみと、いとおしさを、彼はホントに優しい眼差しで描いている。
ブームは去って静寂が戻るんですね。次の御神体を求めて群衆は去っていくわけで。
観終わって振り返る、
・・そういえば、この天使はひと言も言葉を発せずに天空に戻って行きましたよ。
何か語ろうにも、あれほどまでに人間たちの欲と喧騒、好奇の目と救いを求める絶叫に攻められ続けていては、天的存在は口を封じられて、語るに語れないという残念さ。
6年間も同居していながら、天使と無言で心通わせ合ったのは、6歳になった少年だけでした。
強欲を抑えて、鎮まって天使の囁きに耳を傾けるのもいいんじゃないでしょうか。
しかしまあ、トリ小屋で天使を飼うとか、もう爆笑。最後は邪魔者の居候はボケ老人扱い。
批判チクリの大人のファンタジーでした。
脚本を書いて監督を務めたフェルナンド・ビリさんが、あの情けない天使本人を演じました。
「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツにも負けず劣らずの熱演だったと思います。
ただしこちらはラテン気質なのでベルリンの暗さはありません。
迷作ですが、鋭いですよ。
DVD化されていないため
YouTubeで鑑賞
Un Senor Muy Viejo Con Unas Alas Enormes
愚かで醜い。でもそれこそがひたむきな人間の美しさなのかも
とにかくバカバカしいんです。
そもそも話の始まりがもうタイトルまんまで、「ある朝 小さな漁村に 大きな翼を持った老人が漂着する。」
もうなんなんでしょうねこの破壊力。 荒唐無稽にもホドがあるというか。。
映像もね、美しい自然や町並み・じゃなく、どっちかというと庶民の騒然・雑然というか、薄汚れてて小汚いんです(笑)
けれどもそれが、そういうところこそがいいんです。
映画をみてると人間てホント、愚かでせわしなくて醜いという印象を受けます。 (とくにこのスペイン語系?ラテン系?の人たちが・とか云うと偏見ですか笑)
ときにはモメたりダマしたり、ケンカのときも基本相手の話なんかきかないもんだから収拾つかない。
でもそんな行動の根底には、とにかくみんな幸せになりたい!という素直で率直な感情があるのだとわかります。
そんな日常が、ともすると陰湿になりそうなところがむしろ清々しささえ感じるのは、たぶんそういう率直さが開放感をもつからではないでしょうか。
明日のことはわからない、今日を生きぬきたい。
モラルとか美徳とか、そんな綺麗事つべこべ云ってるヒマなんかないのよアタシタチ! て感じ。 人間はホント愚かで醜く、そして逞しくて 美しい。 基本コメディなので笑いもあります☆
絶版、しかもPAL以外の規格DVD化すらされてないみたいで 日本で見られる可能性はほぼゼロかと思いますが、まあもし機会があれば!!
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