「美しすぎるシムカス、数々の名車、そして、なんだかんだで、ベルモンド。」オー! osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
美しすぎるシムカス、数々の名車、そして、なんだかんだで、ベルモンド。
あの「冒険者たち」と同じ監督と脚本と思えないほど、ストーリーの展開が杜撰で、ちょっと投げやりのような感じにも見えた。
基本的な設定は悪くないし、当時のカメラとフィルムで撮影された60年代後半のフランスの独特の柔らかい色調の街並や、その中を走り抜ける往年の名車の数々、当時の闇社会で本当に存在してたような雰囲気の役者たち、そして、哀愁感が疾走するフランソワ・ド・ルーベの音楽。これらは本当にどれも良かったので、もっと脚本を練り直してから作って欲しかった。
特にラストの方のジョアンナ・シムカスの扱いは何とも酷すぎる。
本作における彼女は本当に美しく、その圧倒的な美女ぶりは、ある意味「冒険者たち」以上とも言えたので、あの殆んど投げやりとも言えるシーンは本当に有り得ない。
役どころがファッション・モデルという事もあって、あの美しい彼女を見るだけでも、「この映画を観る価値が有る!」とも言えるが、
それにしても、もう少し何とかして欲しかった。
そして、美しいシムカスだけでなく、様々なシーンで登場してくる往年の名車が予想外の見どころだった。
シムカスが走らせていた黄色いドロップヘッドの「シアタ・スプリング850」や、ベルモンドがサーキットで走らせた「マトラMS630」などは、なかなか走っている映像を見る機会がないので、むしろ本筋と関係のないところで嬉しくなってしまった。
そして、こんなダメなストーリー展開にも関わらず、結局なんだかんだ最後まで観てしまうのは、やっぱりベルモンドが主役だったからかもしれない。他の役者では、こうはいかなかっただろう(こういう所はジャッキー・チェンと少し似ている)。
あと、あの60年代の映画フィルム特有の、なんとも言えない柔らかく味のある色調は、おそらくスクリーンで観ないと堪能できなかったと思う。
今回のベルモンドの特集を企画実行してくださった皆様方には、本当に感謝感謝である。