エンジェル・アット・マイ・テーブル

劇場公開日:

エンジェル・アット・マイ・テーブル

解説

繊細な感性を持つ赤毛の少女ジャネットの、傷つき悩みながらも大人へと成長していく姿を描く。ニュージーランドの作家ジャネット・フレイムの自伝的小説『ある自伝』3部作を原作に、ジェーン・カンピオンが監督、脚本はラウラ・ジョーンズ、撮影はスチュアート・ドライバーが担当。出演はケリー・フォックス、アレクシア・キオーグほか。90年ヴェネチア映画祭審査員特別賞受賞。

1990年製作/158分/ニュージーランド
原題:An Angel At My Table
配給:フランス映画社
劇場公開日:1991年7月27日

ストーリー

ニュージーランドのサウスアイランド。1924年8月双子の姉妹として生まれたジャネット(アレクシア・キオーグ)は、もじゃもじゃ頭の赤毛の6歳の女の子になっていた。父の転勤でオアマルに移り村の小学校に入った彼女は、ポピーという少女と仲良しになる。彼女からファックという言葉を教わったりもするが、ポピーの兄テッドとジャネットの姉マートル(メリナ・バーネッカー)のファックの現場を目撃したのを無邪気に報告したので、逆上した父親(K・J・ウィルソン)からポピーとの交際を禁じられる。そんなジャネットはかたときも本を放さない少女に成長していき、15歳になった頃には、彼女(カレン・ファーガソン)はロマンティックなものに憧れ、将来は詩人になろうと心に決めていた。さらに姉マートルの死、戦争の勃発などを経て18歳になったジャネット(ケリー・フォックス)は、教師を目指して師範学校へ進むことになり、妹イザベル(グリニス・エンジェル)とともにダニディンのおばの家に下宿することになる。学校で彼女は女生徒たちの瞳れであるフォレスト教授(コリン・マッコル)に出会い、文才を認められるが、社交的で友達も多いイザベルに比べ大勢の人間の集まるところが苦手なジャネットは、監察官が参観する授業で極度の緊張のあまり教室から抜け出してしまい、絶望感に襲われ自殺未遂を計る。教師を諦め、執筆活動を続けようとする彼女はフォレスト教授の紹介で精神科病棟に入院するが、精神分裂症と診断され、精神病院に送られる。その間も彼女は必死で執筆を続けるが、八年間に200回ものショック療法を受ける。さらに母親(アイリス・チューン)の同意のもと、恐ろしいロボトミー手術を受けるという寸前、彼女の短編集「礁湖」が文学賞を受賞したためにそれを逃れ、やっと退院、自由な文学活動ができる平穏な日々を獲得する。そして作家のフランク・サージソンの理解を得、また文学基金からヨーロッパ滞在の奨学金を得た彼女は、初めてニュージーランドを離れ、ロンドンで暮らすことになる。下宿先ではアイルランド人パトリック(デイヴィッド・レッチ)に親切にしてもらい、夏に出かけたスペインのイビサ島では、詩人志望のアメリカ人ベルナード(ウィリアム・ブラント)と初めての、だがひと夏の恋を経験するが、ロンドンに戻った彼女は妊娠し、流産してしまう。自らの意志で病院へ向かった彼女は、精神分裂症ではないとの診断を受け、病いの呪いから解放される。入院中の体験を描いた「水の中の顔」もベストセラーになるが、そんな折り、父の死の知らせが届く。ニュージーランドに戻り、新たな気持ちで作家として出発しようとするジャネットを、故郷は静かに優しく迎え入れようとしていた。

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映画レビュー

4.0繊細

2024年6月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督作。
90年代にレンタルビデオ(またはスカパーだったかな?)で鑑賞。本日映画館で再鑑賞。ミニシアターのナイスチョイス。
ニュージーランド出身の作家、ジャネット・フレイムの自伝的作品。

心が繊細なジャネット。人と関わるのが苦手なために、青春期に精神病院に送られ8年もいたことがあるという経歴を持つ。統合失調症と診断されるが、後に誤診と判明。
その一方で、幼い頃から詩や小説が好きで、才能が認められている。

変わった女性の物語だけど、人見知り、シャイなだけで、家族とはいい関係だし、今の時代なら彼女がかかるのは心療内科とかカウンセリングとかその辺りの領域じゃないかな。
無理矢理電気ショックを与え、ベッドに縛り付けておくような病気ではなかったろう。

人に対しては表現が下手でも、文章の上では表現することができる。自活のため職探し→うまくいかない、ひと夏の恋人には遊ばれた感などがあったが、最後は故郷で書くことに落ち着く。

そんな一人の女性の物語。
タイトルは検索するとリルケの詩から取った・意味は「希望」とネットに出てくるが、かわいらしい響きで好き。
好きなこと得意なことが、人はみな必ずあり、それを大切にしたいと思った。

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ふわり

3.5ジェーン・カンピオンを何度でも好きになってしまう

2024年6月15日
iPhoneアプリから投稿

女性の半生、
つまり性を知って、生理が始まり、
妊娠して、中絶するまでが刻々と描かれている。

さらには、精神病院のありのままを
これはやや情緒的に描いている。
社会がいかに酷いかを思い知るよね。

しかし、本作はずっとずっと
主人公に寄り添っていて、それはまた、
我々に寄り添っている事とも同等となる。

もうさ、父親のお金盗んで
我が物顔でクラスメイトにチューイングガム配る姿に
自分を重ねちゃったら、この映画の虜になってるよね。

子供自体のパート1に比べて、
パート2が本当に辛い。
子供心を持ったまま大人になるのが
いかにキツイかを描いてる。

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JYARI

3.0 詩や小説に目覚めるものの、一人の世界に閉じこもったために統合失調...

2018年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 詩や小説に目覚めるものの、一人の世界に閉じこもったために統合失調症と診断されるジーン。教師の道へ上手い具合に進んでいたら、独創的な世界は生まれなかったのであろう。そして、出版社に認められなかったら病院でロボトミー手術を受けていたかもしれないと考えると恐ろしいことだ。

 留学してからは、仲間うちでもナイーブと評され、友達のいない作家となっていたが、スペインで男と同棲し始めたら魔力が失われたのだろうか。結局、詩よりも小説で成功することになったみたいだし。

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kossy

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