「主人公がひねくれるのも分かる。」エデンの東 リボンさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公がひねくれるのも分かる。
リバイバル上映があると知り、それならもう配信で見てみようと思い、早速鑑賞。
想像以上に気持ちが重たくなる脚本でした。
自分の正義を押し付けてくる親って本当に最悪だし、しかも死んだと聞かされた母親が実はそう遠くない街で元気に生きていると思春期になってから知るとか。。ほんとにもう、苦しい展開。
当初は主人公が何の説明も心の中のつぶやきも無しにただとある婦人のあとを付いていく意味が分からなくて、開始からしばらくは脚本の説明の無さ、冗長な始まり方にモヤモヤ。まぁ、そのうち主人公の行動理由は分かるんですけど。
最後の最後で父親と和解というか、本音で話せた感じになったのは良かったんですが、兄の彼女が残っていて、ええと、これは兄が帰ってきたら修羅場?でも彼女の気持ちも変化しちゃってるし。。今度は兄がひねくれていく?もう兄の精神は壊れかけてて厳しいのかな。。。と、この先数年後の未来を想像してまたちょっと苦しくなりました(泣)
名作なんでしょうが、気持ちが重くなるので、爽やかな青春映画を望む方にはお勧め出来ないな、と思いました。
鋼の錬金術師もそうですが、人生の途中からでも、人生の最初からでも「目の前にいない母を求める子ども」って切ないというのはいつの時代も普遍的なテーマなんだと実感しました。
お父さん、「母さんはどこにいるか知らん」、みたいに冷たい言い方しないで。あなたが嫌う人の半分の遺伝子は子どもの中にあるんだから、子どもは自分の半分を否定された気持ちになるから苦しいんだよ。。と、劇中のお父さんに言いたくなりました。
そして、レタス事業の損失額を大豆の先物取引で利益を出して補填出来た息子のことは、シンプルに褒めて喜んで感謝してほしかった。
戦争という状況を利用したとはいえ、別に武器商人になったわけでもないし、先物取引なんて損することもあるんだから、ちゃんと値上がりする品物を見極められたのは商才があるから。しかもちゃんと「父さんを助けたくて稼いだ」って。。こんな孝行息子いないですよ。こんな良い子はいません。この子は悪い子なんかじゃない。お父さんには主人公をあそこでちゃんと褒めて欲しかった。
どこかで、商才があるのも別れた妻に似てる部分だから嫌悪感が出たのかな。。あそこは親子関係が改善するチャンスだったのに、息子を否定したお父さんが残念過ぎました。
兄の今後の精神カウンセリングは必要になりそうですが、ともあれ元気なうちにとりあえずお母さんに会えたことは一応、とりあえずは良かったのかな、と思うことにしたいです。