「歳を取ったからこそ感動できる映画もあるんです。」エデンの東 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
歳を取ったからこそ感動できる映画もあるんです。
①2回目の鑑賞。大スクリーンでは初めての鑑賞。②前回観た時はまだ若かったし、親子の和解のラストシーンでは感動したが全体としては、名作のお勉強という感想しか抱けなかった。③しかし今回、これだけ人生を経ると、キャルの気持ちも分かる、アブラの心の揺れも分かる、アーロンのキャラクターも分かる、父親の信仰や考え方も分かる、母親の生き方も分かる、というわけで途中から涙が止まらなかった。④人間の善悪なんて簡単には分けられない。清濁あってこその人間。良いと思ってやったこと、愛してもらおうと思ってやったことが、かけ違っていって悪い方に向かってしまう。ただそこまで行き着かないとお互いに分かり合えないのも人間。本当に人生とはままならないものだ。それを描いているから名作だし本当に泣けてくる。⑤この作品の唯一の残念な点はアーロンのキャラクターが深掘りされていないこと。ただ余り深掘りするとアブラが悪者になってしまうから、この程度の描写にしたのかな。⑥前回も思ったが、ジュリー・ハリスはどう見てもジェームス・ディーンには年上すぎる(だから画面にも紗が掛かるんでしょうけど)。ただアブラの内面描写と父子の架け橋となる役割とを説得力を持って演じるにはもっと若い女優では無理だったんでしょうな。⑦母親役のジョー・ヴァン・フリートは短い出番ながら、その存在感と演技とで映画を締めている。夫を撃ってまで、子供を捨ててまで自由を求めたかった女の覚悟とその結果を甘んじて受けていること、でも会いに来たキャルへの母性も垣間見せて人物造形が見事な素晴らしい演技だ。⑧ジェームス・ディーンは死して尚何故こんなに人気があるのか今まで良く分からなかったが、今回見て初めて分かった。“青春”というものをもし人にしたら彼のようになるのだろうと思う。。