ウォーターシップ・ダウンのうさぎたちのレビュー・感想・評価
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よくできた物語だと思った。
急にウサギが死ぬシーンが多くて、びっくりするけどこれが自然の残酷さなんだと思う。
制作年に本当に作られたのかと思うほど作画が良かった。
BGMがほぼ同じものしか流れないのがツボでした
70点ぐらい。大人向けだと思う。
1973年にカーネギー賞とガーディアン賞を受賞したイギリスの作家リチャード・アダムスによる名作児童文学をアニメーション映画化、との事。
住んでいる巣穴に危険が迫っている事を察知したウサギたちは新天地を求め旅に出るのだが…って話です。
原作は児童文学らしいけど、コチラは大人向けだと思います。
綺麗な心を失ったり優しさを忘れた大人にこそ、観てほしいですね。
そして動物に優しい人が増えてほしい。
少し前に観た『太陽と桃の歌』で、ウサギが非道な扱いを受けていたのを思いだした。
生きることの厳しさと尊さを感じる映画。
予告編で初めて知って、鑑賞。45年前のアニメーションなのですね。
生きることの厳しさ、死と隣り合わせの日常、家族や仲間との繋がり、種の存続、自分の役割、色々なメッセージを受け取りました。
うさぎさんたちが穴の中でギュウギュウになっちゃうシーンとか、「将軍」の対決のシーンとか(犬を誘き寄せる作戦が賢い!)、結構怖かった。ラストは穏やかで、幸せだったんじゃないでしょうか。
今観るとさすがにキツイ
初めて今回のリメイクでこの作品を観ました。
絵は綺麗ですし、ウサギの動きはリアルでしたが、さすがに劇場でわざわざ観なくてもいいのではというような作品でした。
昔の英国での作品ですので、仕方ないんでしょうが、スムーズではない台詞回し、ヌルヌル動かない作画がどうしても気になりました。
特に、字幕での鑑賞だと、若干台詞同士で変な間があると、観ていてかなり違和感を感じましたし、そのような箇所か沢山あるので、ストレスでした。
また、血が出るシーンで多少緊迫感は出ますが、結局音で無理矢理緊迫感や緊張感を表現しているようにしか感じられず、昨今のアニメや映画を見ていると、どうしても気になってしまいました。作画も割とカクカクなので、激しい動きのシーンも、あまり迫力はありませんでした。
何というか、この時代に初見では、特にいい印象は持ちづらいんだろうなとは思いました。作画も迫力が少ない台詞も、割とシンプルなストーリーも、こんなもんかと思わざるを得ませんでした。ただ、ウサギが穴の中で重なりあって出口を求めて死ぬシーンは、思わず息をのみました。あの閉塞感はめちゃくちゃ良かったです。
ウォーターシップダウンのうさぎたち
かつて観た本作日本語吹き替え版、私的号泣ポイントが2箇所あって、神様にお願いするところとラストシーンですが、今回年齢を重ねており自分がどうなるのか興味深々で鑑賞。結果、涙少しで終わった。
畑さんのファンとかではないですが、ナレーションを娘さんにしたのは良かったように思え、それら全てを確かめるべく吹き替えバージョンをネット注文しました。果たしてまた号泣できるのか?「こんな風に死ぬんだ(希望)」と思えるのか?楽しみです。
アブラハムの一族の物語
人間の開発により故郷の村を追われたウサギたち。彼らは新天地を目指して苦難の旅を続ける。
新天地を目指すヘイズルとファイバーの兄弟が率いる群れには雄しかいなかった。人間に囚われていた雌たちを救い出そうとするがそれはかなわず、恐ろしい軍隊が支配する村で雌のウサギたちを解放しようとする。そこは強権的な将軍が支配する村。なんとか鳥と協力して難敵の将軍を打ち破り雌たちを解放する。
苦難を乗り越えた群れは安住の地に辿り着き、そこで子孫を増やし平和に暮らしている。群れを率いてきたヘイズルは家族や仲間たちと暮らしているとある日フリス神に呼びかけられる。もう彼らは大丈夫だ。私のもとに来なさい。彼は言われるがまま仲間のもとを去る。そしていまや神に仕えるために神の左の座についていることだろう。
旧約聖書のアブラハムの一族の物語をウサギに置き換えたかのような物語。
子供のころテレビで本作のスポットCMが流れていてずっと気になっていた作品。ついに映画鑑賞が叶った。
下書きのレビューが間違えて公開されてた。共感もらってしまったから放置するしかない。お恥ずかしい限り。
うさぎたちから生と死を教わる傑作
うさぎたちの神話から、命の儚さと生きる意味を感じられた。
キャラクターも非常に魅力的で、ヘイズルはもちろんファイバー、ビグウィグなどそれぞれが重要な意味をもって存在している。
特にビグウィグは本作で最も勇敢で胸熱な見せ場が多かった。将軍との死闘で穴を守り続けるシーンには涙腺が崩壊する。
アート・ガーファンクルの曲も素晴らしい。
そして何と言っても、老いたヘイズルがラストで黒いうさぎと旅立つシーンは、儚くもとても美しかった。
直前にヘイズルは一瞬仲間を振り返るが、「彼らはもう大丈夫だ」の言葉に安心して静かに横になる。そして黒いうさぎと空を駆け回る。
死は終わりではないと感じられる素晴らしいラスト。
私も人生の最後はあのように迎えたいと感じる作品だった。
ある人生譚と変わらないある兎生譚。
感想
ウォーターシップダウン日本公開からもう45年にもなるのかと。
1980年の公開時に映画館で鑑賞したいと思いながら叶わないままであったが、今この時にふとした事で映画館で上映されると聞きつけ、映画館に向かう。
物語の主人公はもちろん野兎達。創造主である神フリスが兎神エル・アライラーに与えた恩寵が語られ、早く走ること。素早く動けること。を活かして自分達が今生きる世界から抜け出し新しい世界を目指して冒険の旅をしていく話で、この時点で既に古代ギリシャのオデュッセイアに匹敵するまでは無いにしてもこの兎社会の話に深い哲学性が秘められていると感じる。主人公ヘイズルと本能的予知能力のある弟ファイバーの兄弟、新しいカテゴリーでのリーダー格であるビグウィグの高い戦闘能力、ナットハンガー農場から牝兎を召喚する計画立案を行った頭脳明晰なブラックベリなど個性的な兎達が理想の天地であるウォーターシップ・ダウンを目指して躍動していく。
人間の開発と称する環境破壊により兎達の世界が破壊される描写もあり、兎が人間と同等の知能を有した場合の死生観、宗教観、生存環境の確保の問題、種の保存の問題、その世界での統治方法の在り方など単なる動物アニメではない高尚な次元の話が展開して厳しい現実的な問題を考えさせる物語でもあった。45年以上昔から語られている環境問題はもう待ったなし!行動の時が来ている。
年老いたヘイズルがある日、エル・アライラーとおもわれる光を見つけ「予の上士になるがよい!」と誘いを受けこの世を去り昇天する場面がしみじみと感動する。ある人生譚と変わらないある兎生譚を観た。と感心した。映像は水彩画の様な美しさで素晴らしく申し分はない。音楽:アート・ガーファンクルの主題歌もOSTもフルオケで素晴らしい◎
映画館について
今回観に行ったのはシアターイメージ・フォーラムであった。自主上映系を含めた形で世界の良質な作品を常設でかけているようで世界の映像文化を知る先端の場であると感じる。過去このような場所で覚えがあるのは岩波ホールであったが、今はこの映画館が同じ役割を果たしているのだと感じた。よく知り得ず普段から行き慣れていない映画館であったがこじんまりとして良かった。映画レビュー人生を始めたばかりの自分としては新鮮であった。
2024.12.3改編
⭐️4.5
知られざる名作アニメ
原作は同名の児童文学。
とある丘陵に棲む若いウサギたちの、愛と冒険と成長を描いた物語。
【ストーリー】
サンドルフォード繁殖地に棲むうさぎたちは、土地開発による生活圏の破壊に苦しんでいた。
ケムリと音をならすやかましい四足獣のフルトドと、それをあやつるニンゲンたちが、彼らの故郷の丘陵をひっきりなしに踏み荒らすのだ。
主人公ヘイズルは聡明で冒険心溢れる若きうさぎ。
危険に敏感なファイバー、勇敢なビグウィグ、育ちのいいシルバー、ムードメーカーのダンディライアン、頭のいいブラックベリ、力もちのバックソーン、ほか多数の若きうさぎたちをしたがえる。
ファイバーの予言をきいてもサンドルフォードを動かず滅びを待つだけの年寄りたちと決別し、彼らは新天地の存在を信じて旅に出た。
旅の途中でカウスリップという豊かな集落にたどり着くも、そこは養兎場。
彼らは仲間を増やし、さらに新天地を探す。
傷ついた渡り鳥のキハールも仲間に加わり、彼からエフラファという繁殖地の存在を知るが、そこはウーンドウォート将軍というおそるべきオスが支配する集落だった。
弾圧されていたメスたちを救いだし、エフラファを逃げおおせたヘイズルたち。
ついに理想の地ウォーターシップダウンにたどり着き、安寧の地を形にしようと奮闘する彼らに、ウーンドウォート将軍の魔の手が襲いかかる。
原作は1970年代の世界的ヒット小説。
こちらも素晴らしき冒険譚でしたが、映画もまたたまらない出来でした。
エンジン付きの車をフルトドと呼び、創造神フリス(太陽)と月の神インレをまつる彼らうさぎの文化、そしていろんな価値観をもつうさぎの集落。
うさぎの習性を正確に描きつつ、その背景を魅力的に広げてくれます。
特にクライマックスのウーンドウォート将軍の恐ろしさ、そして一度は屈服したものの、最後の戦いで一歩も引かず戦うビグウィグの勇姿。
↑ここが震えるほど一番好きなシーン。
残酷な場面もありますが、小さなお子さんのおられる方にこそ見てもらって、この愛らしいうさぎたちの生々しい生命力を感じてほしい。
また美しいのが背景美術。
イギリスの自然が克明に描かれ、子供たちならずともその世界観にひたれる、すばらしく夢のある映画でした。
珍しいイギリス製のアニメだが、かなりの名作
総合:90点
ストーリー: 95
キャスト: 95
演出: 80
ビジュアル: 70
音楽: 70
珍しいイギリス製のアニメ。イギリスではピーターラビットの次に有名なうさぎの話なんだとか。うさぎを擬人化して言葉を喋らせたり知能を持たせたりしている。
それだけ書くとただの子供向けのアニメのようだが、その内容はかなり質が高い。猛禽、肉食獣、人間、そして他のうさぎたちからの、降りかかる困難を乗り越え生きるために自分たちの未来のために、勇気を出して全知全能を振り絞り命をかけて全力を出し尽くすうさぎたち。実際に多くの犠牲を出しながらも、自分たちの出来ることを精一杯やりぬいて生きぬこうとする姿に心打たれる。指導力のあるヘーゼル、勇敢なるビッグウイグ、暴虐な敵役の将軍などのそれぞれのキャラクターたちの見た目、能力、性格、役割もきちんと描き分けられている。
最初に出てくる伝説や神が最後につながっていて、物語の終わりに重要な役割を果たしていて見事に締めくくっているのがのが非常にうまくて、幸福感や悲しさや寂しさの余韻を残してくれた。
もっと多くの人に見てもらって評価されてもらいたい作品です。テレビ版の連作アニメはこの映画版とは異なる、完全に子供むけのものです。
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