「上品に踊るヤンキー共のおバカなやり取り」ウエスト・サイド物語 alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
上品に踊るヤンキー共のおバカなやり取り
「あの有名な指パッチンね」という認識で見始めた本作。
見終わった後の感想も、「あの有名な指パッチンこんないっぱい出てくるんだな」です。それ以上でも以下でもない。
いや、美しいですよ。ダンスミュージカルで、昨今のコンテンポラリーみたいな素人には何一つわからんダンス(?)でもないし、どっちかというとバレエ寄り。手足が長くてバレエっぽいダンスが映える。この足の長さは羨ましいっすね。
歌もダンスも美しいんだけど、如何せんストーリーが…つ、つまんねぇ…
見てて何か現代版ロミオとジュリエット風だなぁと思っていたら、まさしくロミオとジュリエットをベースにしているそうで、対立してるヤンキーグループのリーダーの妹とリーダーの兄が、示し合わせたように一目惚れ。んで、何故か妹に格好良いとこ見せたくて命懸け。
何なんこいつら…
命懸けで抗争止めに行ったら、何故か相手方のリーダーをブチ殺してしまってハァァァ…!どうしよう…ッ!となりながら、シレッとその妹に会いに来る。妹も即受け入れる。
何なんこいつら…
こんなクソみてーな街抜け出そう!そうしよう!と2人で駆け落ちを企てるも、ロミオとジュリエットがベースのストーリーだから勿論すれ違って失敗。男は死ぬ。
この間なんと2日間の出来事です。
終始「女はすっこんでろ」みたいな態度なのに、最後は女に「仲間が死んだのはお前らのせいだろうが!」と一喝されてショボン(´・ω・`)
それだけで突然仲良しこよしになって、全て解決。お前らまじで何なん?ww
故石原慎太郎が、自分が死んだ後に出してほしいと出版社に預けていた最後の著書で「男は命懸けでやってるが、女は命懸けで何かすることなんてない」みたいなこと書いてて女性陣から軒並み失笑を食らっていましたが、本作も女性陣から見たら失笑でしかないんじゃないかなーと。
びっくりなのが、本作が素晴らしかったということで、割と最近にもリメイクされてるんだとか。
おもろ過ぎて逆に保管しておきたいレベルなのはわかるんですけど、現代には流行らないと思うなぁと思ってレビュー見たら案の定あんまり評価良くなくて、納得でした。
こういう話が見たいならロミオとジュリエットそのものを見た方が断然良いと思うし、本作は決して質が悪いというわけではないのに正直ずっと白けた気持ちで見てました。
やっぱね、一目惚れで熱烈な恋に落ちて2日で命懸けの駆け落ちはもう、現代人には理解できんのよ。江戸時代じゃあるまいし。
一目惚れは百歩譲って良いとしても、その他諸々、細かい描写(特に心情)が雑過ぎる。
敵対してる2チームの名前がジェット団とシャーク団で「ワンピースかよ…」が頭をよぎり、スラム街のヤンキー共の割にずっと上流出身かのような上品なダンスだし、都合良く一目惚れしあった2人は2日で熱愛からの死亡、長年殺し合うほどいがみ合ってたヤンキー達はそれだけで反省、解散。
舞台だったらまだ良いけど、映画でこれはもう何かギャグ。
昔の作品なので、現代人からするとテンポもだいぶのんびりしてます。
ダンス以外は全てにおいて微妙だったけど、恐らく出来が悪いわけではなく、現代人の感覚とストーリーの内容もテンポも合わないというのが一番大きい。
時代による違いはもうどうにもならんよね…
ダンスは流石の良さなので、差別的でも下らなくてもテンポのんびりでも、「昔の」名作と納得して見られる人にお勧め。