「色あせない特殊効果の高いレベル」ヴァイラス 悶さんの映画レビュー(感想・評価)
色あせない特殊効果の高いレベル
【鑑賞のきっかけ】
1999年の公開当時は、あまり着目しておらず、未見のままだった、本作品。
最近、YouTubeで絶賛している番組があったので、興味を持ち、鑑賞してみました。
【率直な感想】
<特殊効果の技術に感動>
本作品の興行収入を確認してみると、今ひとつなのですね。
公開当時、着目しなかったのは、そのためかもしれません。
でも、設定自体はとても面白いと思いました。
電磁波という形態の地球外知的生命体が、ロシアの調査船のコンピューターに侵入し、船を乗っ取り、人間たちを「Virus(ウィルス)」とみなして、襲った人間に機械を埋め込んでサイボーグ化するなど、人類抹殺を企むというお話。
ただし、どうしても、かなりグロテスクなシーンが出てくるので、一般受けしなかったのかもしれないですね。
ここで、監督さんに注目してみると、ジョン・ブルーノという視覚効果の技術に長けた方だそうで、ジェームズ・キャメロンとのコラボが多いとのこと。
そのひとつが、1991年の「ターミネーター2」。この作品は、液体金属のターミネーターのCG技術に大変に驚きました。
一方、1993年になると、スティーブン・スピルバーグ監督が、ジョージ・ルーカス率いるILMから技術提供を受けて、「ジュラシックパーク」の第1作を公開します。こちらも、CG技術に大変に驚きました。
本作品の公開年、1999年には、ジョージ・ルーカスが自ら監督を務めた、「スター・ウォーズ エピソード1」が公開されており、その卓越したCG技術に驚いたものです。
つまり。
この21世紀を間近に控えた頃、ハリウッドでは、ジェームズ・キャメロンとジョン・ブルーノのコラボによる勢力と、ILMを率いるジョージ・ルーカスの勢力が競いあって、特殊効果を駆使した作品を発表していたと推測されるのです。
このため、興行的には振るわなかった本作品も、特殊効果の技術は大変に優れており、制作から20年以上経過した今でも、古びた感じは持つことなく、作品に没入することができました。
<蛇足>
冒頭、調査船の女性技術者が、宇宙ステーション「ミール」と、通信で、「チェス」を楽しむシーンがあり、「なぜ、チェスなの?」と感じていました。
この部分は、物語後半に結びついており、いわゆる「伏線」なのですが、なかなか面白い脚本だと思ったので、蛇足ながら、付け加えておきます。
【全体評価】
あの「スター・ウォーズ エピソード1」と同じ公開年だと存在がかすんでしまうよな、と同情したくなるほど、特殊効果の技術の高さに感動した作品でした。