「美しい映像とともに描く歴史に翻弄される家族と社会」インドシナ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映像とともに描く歴史に翻弄される家族と社会
総合90点 ( ストーリー:90点|キャスト:80点|演出:85点|ビジュアル:95点|音楽:70点 )
激動の時代のフランス植民地を舞台に、そこに生きる支配者と支配される者を通して、人の生き様と歴史の流れを描く大作。そこでフランス人は何をしていたのか、ベトナム人たちは何をされていたのか。奴隷の様な扱いをされる人々に触れて、社会に疑問を持ち目覚めていくベトナム人の自我が少女を通して見て取れる。またこれはその時代に生きていた家族の絆と愛の話でもあり、激しく揺れ動く歴史の中で翻弄された登場人物の悲しみが切なく美しい。「ラマン」に最初は似ているが、「ラマン」が最後まで個人の話に終始していたのに対して、こちらは家族を通して国家の命運を描くという壮大な物語になっている。
特筆すべきはこの作品の映像の凄さ。美術も衣装も風景も、時に豪華であり時に息をのむ絶景であり、そうかと思えば汚い環境で労働を強いられる人々を浮き彫りにする。小さな小道具や家具まできっちり作り込まれ、それを美しく撮影するこだわりが感じられる。美しい眺めや華麗な植民地生活の陰に、たくさんの悲しみが埋もれているというのがまた物悲しさを誘っていた。
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