「居心地のいいインテリア?近所のニトリで十分なのかも知れません」インテリア あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
居心地のいいインテリア?近所のニトリで十分なのかも知れません
インテリアとは何かを辞書で引くと、こうあります
英語で内面を意味する単語であり、転じて、日本語で室内装飾品という意味であり、部屋や乗り物の室内の装飾やそれに付随する照明、装飾家具("Decorative arts")を表す
エクステリアの対義
溜め息がでるようなインテリアが全編に渡って登場します
昔、銀座にあった洋書店イエナの3階だったかの外国雑誌のコーナーで憧れを持って、米国のインテリア雑誌を立ち読みしていたことを思い出します
インテリアにも流行があって、昔ページを飾っていたとのと寸分違わぬ室内セットのオンパレードです
独身の頃、外国のインテリア雑誌に影響されて住んでいた1DK のマンションの部屋に百貨店でイノベーターの椅子やら北欧風の白いユニット家具を買い込んで、カーペットもモノトーンに統一して、グレーのブラインドをベランダのサッシ全面に取り付けたりしたものでした
ブランドの隙間から高層ビルの灯りが見えてNYみたいでとってもお洒落だと独り悦に入っていたものでした
家はくつろぐたためにあるもの
だからインテリアは家を居心地の良いスペースにするためのもののはずです
ところが本作ではそうではないのです
義母が著名なインテリアコーディネーターであるからです
一体どうして?
長女の新婚家庭は、過干渉な彼女のセンスで統一され、流行が変わればインテリアも変更されるのです
こんな家でくつろげるものでしょうか?
例え家が四畳半のボロアパートで、近所のスーパーの2階かホームセンターで適当に買って来た変な色目の三段ボックスや安いカーテン、百均で買ってきた小物に囲まれていても、自分がその時これだと思って買ったものに囲まれていたなら、くつろげるものです
他人の好みで満たされた部屋で暮らす
それはその人の支配を受け入れなければ苦痛でしかないのです
ならば夫婦の妻ならば?
考えても見て下さい
余りに神経を張り詰めてコーディネートされた部屋に仕事に疲れて帰ってくるのですよ
背広はすぐにぬいで、パジャマで過ごしたいものです
風呂にはいってパジャマに着替えて、ビール飲んで、だらしなく寝そべっていたい
それが男の考える楽で、くつろぐ家です
男と女が求めるくつろぐ家の違いがそこにあるのかも知れません
女だって、楽で居心地のいい家を作りたいはず
それは男よりとても強いのだと思います
でも子供が生まれたらそれこそインテリアコーディネートなんてどこへやら、部屋はもうむちゃくちゃになるものです
それなのにイヴの夫アーサーは家庭でも未だに背広姿を強制されているのです
何故って?
インテリアにそぐわないからです
お洒落じゃないからです
子供達にも小さな頃からそう強制して来たようです
そりゃあ、別居して逃げ出したくもなります
子供達が独立するまでよく辛抱したものです
アーサーを誉めてやりたいくらいです
アーサーが、パールのようながさつでも明るい気の晴れるような性格の女性と再婚したいと言い出すのはものすごく分かります
とにかく楽なのです
結局、男にはインテリアなんてどうでも良いのです
居心地のいい、心が休まる家が欲しいだけなのです
それが無ければ、仕事に全身全霊を傾けて働けなぞできはしません
24時間、気を張り詰めていたなら発狂してしまいます
もちろん、お洒落な家は素敵です
憧れがあります
好みのテイストで統一したインテリアの家で暮らしたいと思います
自分の好みのコーディネートでなくてもそうです
でもそれを強制されたなら?
息がつまる、窒息しそうだ
それがアーサーであり、長女ジョーイの夫マイクです、次女レナータの夫フレデリックもインテリアでなくともイヴと似たレナータに息が詰まる思いをしていたのです
三女フリンは、それに気がついてハリウッドに逃げ出したのです
それでもイヴは、インテリアを完璧にする事が愛を表現する事だと思いこんでいるのです
イヴは立派な巣作り=インテリアをする事こそが愛情の表現であると思いこでいて、それしか表現方法を持たなかったのです
やがて破局が訪れて、三姉妹はイヴの支配から逃れます
大西洋の大海原の大波が、これまでのそれぞれの生き方を洗い流していくようです
男と女がひとつ屋根の下で暮らしていくのです
四六時中、神経を張り詰めいたら、ギスギスして角突き合わせて疲れるだけです
居心地のいいインテリア?
近所のニトリで十分なのかも知れません