「My name is Jones, Indiana Jones. ”同じ体験”を通して紡がれる父子の絆に涙…出来る訳ねーだろっ!!💦」インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
My name is Jones, Indiana Jones. ”同じ体験”を通して紡がれる父子の絆に涙…出来る訳ねーだろっ!!💦
考古学者インディアナ・ジョーンズの活躍を描くアクション・アドベンチャー『インディ・ジョーンズ』シリーズの第3作。
1938年、インディは大富豪ドノバンに依頼され、行方不明になった”伝説の聖杯”の調査責任者を捜索することになる。その調査責任者とは、聖杯発見に人生を費やす彼の父親ヘンリー・ジョーンズ・シニアであった…。
監督はスティーヴン・スピルバーグ。
○キャスト
インディアナ・ジョーンズ…ハリソン・フォード。
インディの父親、ヘンリー・ジョーンズ・シニアを演じるのは『007』シリーズや『アンタッチャブル』の、レジェンド俳優サー・ショーン・コネリー。
少年時代のインディを演じるのは『スタンド・バイ・ミー』『旅立ちの時』の、名優リヴァー・フェニックス。
製作総指揮/原案はジョージ・ルーカス。
第62回 アカデミー賞において、音響編集賞を受賞!
『インディ』シリーズ初期三部作の完結編。
前作『魔宮の伝説』(1984)で『007』オマージュをやってのけたわけだが、本作ではまさかのご本人登場!ハリソン・フォード×ショーン・コネリーという、新旧映画スターが夢の共演を果たしている。
実はフォードとコネリーは12歳しか歳が離れていない。父子というよりは兄弟の方がしっくり来る年齢差なのだが、コネリーの老け顔…もとい貫禄のおかげでこの設定に違和感はない。
ジョージ・ルーカス作品の老人と聞いて、いの一番に思い浮かぶのはやはり『スター・ウォーズ』(1977)のオビ=ワン・ケノービ。コネリー演じるパパディ・ジョーンズも彼のように主人公を導く立派なメンターなのかと思いきや、息子以上に考古学狂いの完全にどうかしちゃってる人という役どころなのは意外性があり面白い。
苦労人の息子とスッとぼけジジイ。この2人の見事なコンビネーションが観客の笑いを誘います🤣
ショーン・コネリーもさることながら、忘れてはならないのはヤング・インディ・ジョーンズを演じたリヴァー・フェニックス。瑞々しさと精悍さを兼ね備えたその姿はまさに次世代のスター。フォード、コネリーと同じ画面に収まる事はないのだが、異なる世代の三大スターが揃い踏みしたというその事実だけで、映画ファンの心を熱くさせてくる。
リヴァーが本作で見せてくれたコメディ&アクション、その両方への輝かしい才能。つくづく夭折したのが惜しまれる…。もしも彼が生き続けていたら、映画の歴史は今とは全く違うものになっていた事だろう。
『魔宮の伝説』はまるでテレビゲームかアトラクションのような作品で、一つの限定されたダンジョンを攻略する様が描かれていた。シリーズ2作目にして前作の殻を破った異色作だったわけだが、その評価は賛否両論を巻き起こした。
そんなこともあってか、本作は打って変わっての原点回帰路線。キリスト教由来のお宝を求め、ナチス相手に世界中を駆けずり回っての大冒険という『レイダース』(1981)を彷彿とさせる内容となっている。マーカスやサラーといったキャラクターも復活しており、まさに『レイダース2』といった趣のある作品に仕上がっている。
これまでもアクション要素が異常なまでに多いシリーズだったが、本作はその総決算といった具合にインディがとにかく動きまくる!
手数の多さも凄まじいが、真に驚くべきはその種類の多さ。「ウマが走ればそれだけで映画になる」と言われていることからも分かる通り、アクションの基本は乗り物によるチェイス。本作はこの基本を忠実に守っているのだが、とにかくその乗り物アクションの種類が多い!💦ヤング・インディ時代におけるサーカス団の貨物列車に始まり、ボート、飛行機、飛行船、バイク、車、馬、さらにはなんと戦車まで!!映画における全ての乗り物アクションを制覇する勢いで、手を替え品を替えながらのチェイスシーンが怒涛の如く繰り広げられる。本作をみれば映画におけるアクションとはなんなのかがわかる、そう断言しても良いほどのアクション見本市となっています。
ただ、このアクションの多さは問題も孕んでいる。とにかくカロリーが高いので観ていてとっても疲れるのである。次から次へと繰り出されるアクションシーンの連続は、最初は楽しくてもだんだんと眠気が…🥱
まあ実際に眠り込んでしまう事はないのだが、このシリーズにストーリーというものは有って無いようなものなので、集中力は自ずと切れてくる。この手のアクション映画は、90〜100分くらいのランタイムがやはりベストなんじゃないかな、と本作を観て改めて思ったりした次第であります。
スピルバーグの悪趣味は本作でも炸裂💥
ネズミや蛇がウジャウジャと周囲を取り囲み、最後には悪党の顔面がぐちゃぐちゃになる。ちびっ子を怖がらせることに命をかける、スピルバーグの熱意…というか狂人っぷりがしっかりとフィルムに焼き付けられている。
とはいえ、前作の過剰なまでの残酷さと比べると本作はかなりおとなしめ。生きたまま心臓をくり抜いたり猿の脳みそを食ったりゴキブリだらけの洞窟に潜入したりはしない。…うん、やっぱ『魔宮』は異常だわ。流石にスピルバーグも前作はちょっとやりすぎたと反省したのだろうか。
確かにグロやバイオレンスはこれまでと比べて弱いのだが、本作の悪趣味さはちょっとベクトルが違うというかなんというか…。
インディとヒロインがムフフな関係になるというお約束を本作も踏襲しているのだが、その相手というのが…。いやいや…。いやいやいや!これリアルで考えたら嫌すぎるだろっ!🤮
ファミリー映画らしからぬ、異常な肉体関係。”同じ体験”を通してギクシャクしていた親子がその絆を再発見する、というのは映画のお約束だが、こんな”同じ体験”は死んでもゴメンである。まぁ親父がジェームズ・ボンドなんだからこうなるのも已むなしか。
本作にて一度『インディ・ジョーンズ』シリーズは幕を下ろす。本作は三部作の完結編だったわけだが、その内容はパパディとマーカス、2人のジジイを介護しながらの珍道中だった。完全にどうかしちゃってると思うのだけれど、このイカレっぷりもまた『インディ』シリーズの魅力の一つか。
シリーズはこの後『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』(1992-1996)というテレビシリーズへと続く。この劇場版を、リヴァー・フェニックス主演で観たかった、というのがファン全員の想いだろう。