劇場公開日 1989年7月8日

「シニアが良い味出している💛💛 年を取るのが楽しみ。」インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5シニアが良い味出している💛💛 年を取るのが楽しみ。

2024年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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勿論、最大の殊勲賞はインディ・パパこと、ショーン・コネリー氏。
 あの、大きなお目目が、輝く!おもしろがる!優しく諭す。
 思惑が当たって、歓喜。
 ライターを落としてしまって、おろおろ。
 馬上槍試合のような顛末には少年のようにキラキラ。「ほっほっほ」という声が聞こえてきそうだ。
 ジュニアからの愚痴には、大きなお目目をさらに大きくして、真剣・真剣。
 間違って、尾翼を撃ってしまって、あたふた。
 鳥を使って、一難去り、どや顔。
 「いつもこんなか?」「いつもより楽だよ」の台詞を聞きながらも、わくわく。
 安楽椅子探偵よろしく、文献を読み込むことで、聖杯研究に没頭。若きインディが「パパ!」と駆け込んできても、本から目を離さず応対していたのに。
 脳天を殴られたジュニアより、武器に使った陶器を心配するパパ。
 なのに、ラストは…。人生かけて求めていたのに。それよりも大切な…。

それを受けるインディ。
 USAは、大人になっても、父親のことは「パパ!」なのだろうか?「パパ」「パパ」連呼するので、親子感ー第二次反抗期の息子と父の雰囲気ーがUPする。これが日本みたいに「親父!」「父さん!」だとまた違う雰囲気が醸し出されると思うのだが、これも演出か?
 リヴァー・フェニックス氏演じる少年時代からの流れも、その印象に輪をかける。
 そして、演じるハリソン氏も、コネリー氏に巻き込まれて、役の設定だけは忘れずに、本当に反応しているように見える。特に、飛行船での父子対決の場面。もう、父親にあんな表情されたら、息子はああいう風になるしかないよ。(演じていて、よく噴出さなかったなあとも思うけれど)

この流れで、確執のあった父のために、命を懸けた冒険に挑むのも、自然な流れ。
まさしく、思春期(小学校高学年~中1くらい)ムービー!

そしてもう一人のシニア・マーカス。
 インディ以外の作品は見たことがないので、役者さんについては評することはできないが、この映画では、良い抜け感が見事。
 『レイダース』では、インディの友人・同僚として、軍部とのつなぎとか、できる紳士風だったのに。インディパパとインディのコントを壊すわけでもなく、良い箸休めになっている。外すと、シーン自体が白けてしまうような立ち位置なのに。
 シニア二人がボケ役なので、パパだけが浮くということもなく、インディの格好良さをバックアップ的に際立たせることにも役立っていて。

エルザの立ち位置が、正直、どっちつかずで滑っているだけに、マーカスがいてよかった。私的には。

ナチス側は、他の映画とあまり変わり映えしない。ああいう描き方しかできないだろうけれど。

聖杯を巡る冒険。
 聖杯とくれば、思い浮かぶのは『ダ・ヴィンチ・コード』。こちらは、パパがほとんど謎を解いてしまっていて、『ダ・ヴィンチ・コード』より、謎解き感はない。ナチスとの攻防が、アクション・コントとなっていて、見もの。アクション自体は派手で手に汗握るシーン続きなのだが、鑑賞しての印象はコント。なんとも面白い。

私の無知も含めて、突っ込みどころは満載。

石油が混じっている下水路を泳げるのか?『獣医ドリトル』には石油タンカーから漏れた石油が体にまとわりついて命の危機に落ちいった鳥救出作戦の回があったけれど…。

ヒトラーのサイン。伏線かと思ったら、単なる(笑)シーンだとは!

クライマックス。信仰の篤さが聖杯への道みたいな3つの謎かけ。
 でも、まったく、信仰の篤さを感じられないオチ。しかも、あの二人も追いかけてくるし。

映画最初の方の講義で「考古学は事実こそが大切。信念が欲しいなら、哲学科へ(思い出し引用)」というようなことを言っていたけれど、それって、この映画のこと?「アクションこそ大切。信念を大切にするような社会派映画や感動大作をお望みなら他の映画を観てくれ」ってこと?と、ここでも吹き出してしまった。

とにかく、楽しむために作られた映画。
 脚本・演出の力も大きいが、二人のシニアの演技がなくては、まったく違う印象の映画になったと思う。
 シニアだからこそ、醸し出せる技。年をとることが楽しみになった。

☆彡   ☆彡   ☆彡

   ↓   ↓

ところで、
《以下、ちょっとネタバレ。つっこみ》

   ↓   ↓

その聖杯で聖水を飲んだら、永遠の命が授かるという設定。
 撃たれて死にそうなパパのために、聖杯で汲んだ聖水を取りに行くインディ。
 パパに飲ませる前に、毒見するインディ。
 そして、大丈夫なことを確かめて、パパに飲ませるインディ。
 て、ことは、インディもパパも、永遠の命を授かった?
 飲んだ量が少ないから、インディは永遠の命を授かっていない?
 パパは、傷を癒した時点で、永遠の命はなかったことになったのか?
 エルザが聖杯を洞窟から持ち出そうとした時点で、効力はなくなった?
 永遠の命は、騎士のようにあの洞窟限定で、あの洞窟を離れたら、効力はない?

インディが永遠の命を持ってしまったら、別の物語が始まってしまう。
 『クリスタル・スカルの王国』と、『運命のダイヤル』を見たら、そのあたりの設定がどうなっているのかがわかるのかしら?

とみいじょん