「若気の至り。ご結婚おめでとうございます。」インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 pipiさんの映画レビュー(感想・評価)
若気の至り。ご結婚おめでとうございます。
インディ・ジョーンズという魅力的なキャラクターとハリソン・フォードの名演でなんとかなったものの、映画的には「やっちゃったな」な出来。
まず「前作の前日譚である」という点が観客に伝わりにくい。
これ、時系列では「失われたアークの1年前ですよー」って気付いている人、どれくらいいるんだろ?
知っている人でも、パンフや論評などの文字媒体がきっかけで、「映画そのものを観て、最初っからわかった」って人はいるんだろうか?
一つだけインディを擁護出来るのは「ウィリーとのロマンスは、マリオンと再開する以前の出来系なんですよー!」と言ってあげられること。
決してマリオンを放っぽっといてイチャイチャしてたわけではないのです。(笑)
前作にて「ローラーコースタームービー」という言葉を生み出した本シリーズだが、まんまジェットコースターのトロッコシーンや上海シーンは前作の第一稿から長くなり過ぎるという理由でカットされたもの。
だから、前作に引き続きローレンス・カスダンに脚本を任せればこーゆー作風にはならなかったんじゃないか?と個人的には思います。
ウィラード・ハイク&グロリア・カッツ夫妻の脚本にそもそも問題があるんじゃないかなぁ?
インドの邪神、カーリー女神を扱うにしてもインド、ひいては東南アジア全域への偏見を助長させてしまう作風であることは否定できません。
(いくら1930年代設定であってもさ。こりゃちょっと酷いよ。
同年代を描いているインド映画「RRR」と見比べてみよう。インド人怒るの当たり前。
事実、当時インドでは上映禁止作品に指定された。)
聞き分けのない女の頬を一つ二つ張りとばして〜♪な時代だったとはいえ、ヒロイン・ウィリーやショート少年に対するインディの態度もちょっとワイルド過ぎる。(現在なら絶対、虐待がどーの、コンプライアンスがどーの、とクレームがでる)
欧米人にとって未知の邪教という点は007の「死ぬのは奴らだ」(ロジャー・ムーア第1作)が思い浮かんだし、知性に乏しいブロンド美女は007「黄金銃を持つ男」を想起しました。
まぁ、スピルバーグにとってもシリーズ化というものに対する初挑戦であった為「観客を楽しませよう」と思うあまりの試行錯誤とゆーか迷走だったのでしょう。
面白くないわけじゃないんですよ。充分面白いんですが、ただ
「アクションを重視しすぎてストーリーを軽視するとこーなる」
という、ローラーコースタームービーの弱点をこの時点で露呈していた、とも言えるのです。
そう考えると「映画にとって、大切なものとは何か?」を教えてくれる反面教師的な作品とみることも出来るのですね。
「教材」としての価値は高いかもしれません。
ちなみに、スピルバーグは本作がきっかけでヒロイン演じたケイト・キャプショーと結婚し、5人の子宝に恵まれます。その点ではおめでとうございました、な本作でありました。(祝)
(う〜ん、星4には届かないんだけど3.5じゃ厳しすぎるし、映画や演出は良いからまぁ甘め評価するしかないかな。)