劇場公開日 1997年4月26日

「秀逸な構成と美しいシーンを味わえました」イングリッシュ・ペイシェント ねりまっくまさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0秀逸な構成と美しいシーンを味わえました

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

午前10時の映画祭で鑑賞しました。

上映開始からの5分。観客の心をつかむ演出が素晴らしいです。
砂漠が創り出した幾何学的にも見える造形美と雲一つない空のコントラスに目を奪われていると、かすかな音と共に現れる複葉機。操縦している男性が何者なのか、前に乗っている女性は気を失っているのか、そもそも二人はどこにむかっているのか。そうした想像力を掻き立てられる中、複葉機は地上からの掃射により墜落していまいます。このシーンがどういう状況なのかががエンディングで明らかになるわけですが、その構成・脚本はお見事でした。

162分の映画なので中だるみ、退屈もありました。でも見事な伏線回収のおかげでアカデミー賞もうなずけます。「不倫の話なので評価しない」という感想も目にしました。不倫でも私は気にしないのですが、この映画のシチュエーションでは不倫になっていく過程がよくわかりませんでした。キャサリンは良い旦那さんがいるのになぜアルマシーに魅かれてるの?というところが疑問符だらけなのです。そこが丁寧に描かれていると私の中での評価も最高レベルだったと思います。

そんなツッコミを超えた美しさのある映画だと思います。それは映像として現れるだけでなく、洞窟の中でひとりで手紙をかいていたキャサリンを想像させる演出も含めてです。このシーンは涙腺がゆるくなりますね。

ねりまっくま