いつも2人でのレビュー・感想・評価
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ドキュメンタリー映画公開記念。今観るべきオードリー映画はこれ
近く公開のドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』は、俳優オードリーの魅力以上に、人間としてどう生きたかにより比重が置かれている。そこで、オードリー・ファンでもある筆者があえてプッシュしたいのが、彼女のファッションアイコンとしての魅力と演技力を存分に楽しむことができる1967年製作の『いつも2人で』だ。
12年間に及ぶ夫婦間の機微を6つの旅を頻繁に前後しながら綴る物語は、出会った時の夢溢れる若々しさ、夫が建築家として徐々に成功を手に入れているのに反比例して、冷え切っていく夫婦関係、双方の浮気、復縁を、スタンリー・ドーネンの洒落た演出と、オードリーとアルバート・フィニーによる抜群の掛け合いで魅せていく。特に、オードリーが目まぐるしく前後する時間軸の中で、感情の変化を繊細に演じて、演技力に関してキャリア最高の領域に達している。もしも同年、『暗くなるまで待って』が公開されなければ、こっちでオスカー候補入りしただろうと言われているほどだ。
そして、本作でジバンシィと訣別したオードリーは、ブティックで売られていたプレタポルテを時代毎、場面毎に着替えて、服で時間を表現している。ファッションが案内人なのだ。特に、クライマックス近くのパーティシーンで登場する、当時売り出し中だったパコ・ラバンヌのメタリックドレスは、その輝きがオードリーの顔に反射して、まるでライティングの役目を果たしているかのようだ。
すでに公開から半世紀以上が経過しているのに、心にも、目にもビリビリ響くコミカルで、辛辣で、おしゃれなオードリー映画の隠れた傑作を、この機会に是非。
「嫌いだけど愛している」と 「愛しているけど嫌い」の小競り合い
あの「ビフォーアシリーズ」ほどではないけれど、結婚という人生の旅路を続けながら男と女が喋くるロード・ムービー。
その片割れをオードリー・ヘプバーンが務めるのだから、これは見ないわけにいかない。
「結婚とは・・
女が男に『服を脱いで』と言った時 ―
ただ単に洗濯したいだけであること」
― 砂浜で抱き合って、この名言にゲラゲラと笑い転げるマークとヘップバーンのいいシーンだ。
そして劇中、象徴的に繰り返して現れるのが、押し黙った中年男女のカット=夫婦の姿。
ザ・倦怠期。
さて、
名作「ローマの休日」では、世紀の清純アイコンとなったアン王女さまなのだが、
本作では事あるごとに「セックスセックス」と連呼するのには、いささか閉口したが、
どの出演作を観ても、彼女は、若い頃も、年を経ても、どこか一本抜けていてどんくさいところ。そして案外頑迷でしつこい性格があるところ・・
そこが庶民的でチャーミングな、彼女の生まれつきのキャラクターなんだろう。
僕は、朝帰りの売春婦を演じたオードリー・ヘプバーンの「ティファニーで朝食を」が、彼女の最高傑作だと思っているので、今回さんざん濡れ場を演じている本作は、彼女のそんな持ち味の真骨頂だとも思えるのだ。
つまり、
お姫様役ばかりでなく、
こうして身近かな、自分の連れ合いのような女を演じさせる監督の、「オードリー・ヘプバーンの人間宣言」狙いなのだと思う。
貞淑な妻も、汚れ役も演れた池内淳子とか若尾文子っぼいところをオードリーには感じるが、どうだろうか。
めんどくさい女なんだけど、憎めなくて、結局付き合いが長くなってしまう。オードリー・ヘプバーンとは、そういう役どころなのだ。
・・・・・・・・・・・・・
この映画は、
ひとつのカップルのたどった歴史が、
そしてその彼らの歩んできた時間が、映画の中で前後左右に飛び回り、錯綜し、時系列などすっかり分からなくなってしまう変わった作りになっている。
けれど、古女房や加齢臭の宿六と過ごした日々を、互いに思い出す瞬間というものは、大概がこういうものだろう。
写真アルバムを開けば、着ている洋服の変遷や、あの頃乗っていた車の車種の写真で自分の時系列を思い浮かべられるけれど、
永い結婚生活を経てきているそんな経験者たちにとっては、たどってきた過去の映像というものは、断片的で、走馬灯のようで、かくのごときものなのではないだろうか。
つまり、
良い思い出も、悪い思い出も、順番などよく分からなくなっていて、すべてがバラバラにフラッシュバックしている。
映画は、かくして、繰り返し同じパターンで二人のエピソードが付け加えられていくのだ。
出会い、仲たがい、収束・・
出会い、仲たがい、収束・・
波が寄せては引くように、
彼らの車も走ったり止まったり、快調だったり壊れたり、活躍したり休憩したりするように、
夫婦カップルの歩む道程が、ここかしこに象徴的にイメージされていて
大変に面白かった。
結婚のリアル、ここに極まれり、なのだ。
オードリーに横恋慕を仕掛けた紳士の言葉
「今や悠久などというものは存在しない。終わったものは終わったと言うべきだ」。
この台詞は彗眼だと思う。
終わらせることも出来る選択肢を持たないで、単にだらだらと同衾を続ける、そのような結婚の不毛をも、本作はえぐっているかもしれない。
オシャレに無縁な私には難し過ぎた
時系列が行ったり来たりする映画は割と面白がれると思ってたが、この映画は難しい。
主役のファッション(髪型、化粧?、服)、車種などが手掛かりになるんだろうけど、どっちにもウトい方なので。それに、同時に並べたらわかるかもしれないけど、どっちが若いか老けてるか、顔見てもわからんかった。
ということは、何回も見れば面白いのかも。いや、まあ、そこまではしないか。
午前10時の映画館、初めてちゃんとオードリー・ヘプバーンをスクリーンで見れてよかった。
結婚とは、女が男に服を脱いでと言うのは洗濯したい時だけだ…と、いうこと。
この映画は、端役で出演しているジャクリーン・ビセットに魅せられたトリュフォーが、彼女の主役版でこの映画を観たいと言ったことが、映画自体よりも有名な逸話だ。
確かに、ほんの短いシーンの出演だが、若いジャクリーン・ビセットは美しい。
午前十時の映画祭12にて。
スタンリー・ドーネン監督のオードリー・ヘプバーン主演映画としては3本目となる本作。
ある夫婦の複数の時間帯を同じ旅先のシチュエーションで切り取って見せる、ユニークなロマンスコメディー。
男と女が出会って、恋におち、結婚し、子供をもうけ、心にすれ違いが生じ、そしてどうなるか…を描く。
ドーネンの作品は、ストーリーから逸脱して突飛なエピソードに尺を割いたりして、ストレートに物語を語らない作風が多い気がする。
ヘプバーンとの過去2作品にも、そういう場面はあったと思う。
一方、本作はストーリー自体が無いに等しいのだから逸脱するもなにもない。それでも意味があるのかないのか不明なシーンをちゃんと入れてるから流石だ。
頻繁に時間軸が往ったり来たりするが、全て旅先なので普段の生活風景は描かれない。彼らがどのような夫婦生活を送っていて、あのような気持ちに変化が起きてきたのかは示されないのだ。
でも、結婚経験がある者なら想像できるようなもので、各自各様の想像で補えば良い作りになっている。
時間遷移の演出が凝っていて、ヘプバーンの七変化もあって、見どころが散りばめられている。
複数の時間軸の交錯に戸惑う
倦怠期の夫婦を演じたオードリー・ヘップバーンの意欲作。複数の時間軸が交錯する展開に戸惑うと同時にアクション繋ぎのような編集に驚きました。
公開当時(37歳)の年齢を感じさせないオードリーの魅力を堪能しました。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2022-78
わたしと「いつも2人で」
オードリー・ヘプバーン作品の中では一番好きな作品。地味な作品だし、時間軸の入れ替わりも激しくて分かりにくい映画なのに、どうしてか心を惹きつけて止まない。
オードリーが演じる主人公、ジョアンナがパートナーとの旅を通して人生の生き直し・やり直しを繰り返すその過程が、若干20~30代の若造にはエモーショナルなまぶしい愛の修道者に見えたわけです。
愛は求めても得にくい、なかんずく若い頃の愛にはエゴの勢いが勝ってしまう!
そのことがもう少し分かっていたら、人生の中盤や現在に至る生活も変わっていただろうに!全く学習能力のない人間なのでしょうネ 笑
ヘンリー・マンシーニの音楽が素敵で、かなり今風で言えば「エモい」です。3度か4度観ている私は、毎回冒頭の音楽だけで、反射的に涙ぐみます。かなりやばいです!超おすすめですが、最初より2度め3度めとくり返し観ることをお勧めします。セリフも多いし、名言も多めですから
出会いはパスポート、ラストもパスポート
結婚12年目を迎えた夫婦の旅。
永遠の愛を誓った2人でも、
長い結婚生活の間には色々あるけど、
お互いを許し、諦め、認め、
2人で生きていくのかなぁと思った。
オードリー・ヘプバーンのスタイルの良さに惚れ惚れ。
午前十時の映画祭12 にて。
オードリー・ヘプバーンが嫌いになりそう。
オードリー・ヘプバーンが嫌いになりそう。
言いたいことは途中で分かるが、それまでに時間がかかる。その上、眠くなるので、頭の中がぐちゃぐちゃになる。オードリーをとてつもなく好きな人以外見ても理解できないのでは。この映画のオードリーを綺麗だと思えなかった。
午前十時の映画祭12にて。 1967年の作品とのことですが、車でド...
午前十時の映画祭12にて。
1967年の作品とのことですが、車でドライブするシーンと重ねて年月が進んだり戻ったりと当時にしてはなかなか凝ったストーリー、編集だったのかもしれませんね。
それにしてもオードリー・ヘップバーンが本当に綺麗で、仕草やセリフも可愛い。時代とともに変わるファッションを見てるのも楽しいです。
若きジャクリーン・ビセットが観れたのも良かった。
時代が前後して混乱した
午前十時の映画祭12にて。
オードリー・ヘップバーンが彼と出会い結婚し子供が産まれ・・・これを時代が前後しながらみせる話。
最初は似た人が出てるのかと勘違いしたが、あんな時代を行ったり来たりするのが頭の体操かなんかなと思った。
ストーリーとしては特に変哲もない単純なもので面白くはなかった。
オードリー・ヘップバーンも多少歳をとってたが、細くて相変わらず綺麗だった。
やはりオードリーが素敵
ストーリーは過去未来織り交ぜて展開するので、わかりにくいものの、オードリーのそれぞれの演技がとても可愛らしくて、時に初々しく、時にアンニュイで良かった。
夫婦という形をうまく表現したように思う。
王子様と巡りあった王女様のその後
実はオードリーの隠れた名作。過去と現在とをクロスさせた凝った構成と洒落た演出。40前のオードリーに女子大生をやらせる度胸(でもオバサンには見えないところはやはりオードリー)。華麗な衣装。でも内実は倦怠期中年夫婦のドロドロ。いつも王子様と出会ってハッピーエンド・オードリー・ムービーが好きなお方(「ローマの休日」はハッピーエンドではなかったけど、あれはあれで良かったのです。だって彼女は王女様だものの)には敬遠されるのは仕方ないかも。でも、最後まで妖精っぽい役しかやらなかったという印象のあるオードリーもこんな役やってたんです。ただ倦怠期中年夫婦のドロドロをお洒落にラップしているのはやはりオードリー映画かな。それと、若きジャクリーン・ビセットの美貌が拝めます。この時だけはオードリーが少し可哀想でした。
いつも2人で
2人の男女の出会いから離婚の危機までを、時間をバラバラにして描いていました。
個人的な解釈ですが、これは「何があっても、いつも2人で乗り越えてきたじゃないか」という意味があるのではないでしょうか?
楽しい時も、辛い時も、2人で解決しようというメッセージが込められていると思います。
この時代の小粋な恋愛喜劇
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
問題も抱えつつ夫婦の危機を迎える二人が、旅行で過去を思い出しながら今の二人を見つめ直す。殆どの場面は過去と現在の二人の旅の描写に費やされ、そのため作品は大きく二人の演技に依存する。物語としてはそうたいしたものではないし演出も古さを感じるが、この時代のオードリー主演のちょっと小粋な恋愛喜劇といったところ。
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