「ジョンケイシー」怒りの葡萄 Socialjusticeさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョンケイシー
何度読んでも何度劇になったのを見ても、何度映画で見ても、いつもどこか引っかかる作品である。今回は、ジョン ケイシーが気になった。
この映画はジョンケイシー(ジョン・キャラダイン)が、もう説教師ではないとトム(ヘンリーフォンダ)に言うシーンから会話が始まる。女性との関係を持ったことで仕事は失ったが、人生への捉え方が前向きになったのではないかと思えた。トムの家族に歓迎され、ダストボールを抜け出て、カルフォルニアに向かうが、途中トムの祖父がなくなり、もう説教師ではないが人のためにこの役割を果たす。
カルフォルニアに着いたが広告にあった思ったような労働条件でなく搾取が行われる中、一時保釈のトムの代わりになり牢獄へ。ここでも人のための自分を犠牲にする。ケイシーはイエスキリストの化身のような存在だ。ケイシーは説教師としての宗教を既に捨てたが、宗教観は捨てていない。これは彼の政治観になって現れている。
その後労働争議の中心的人物になり、人々のために殺されてしまう。彼の哲学は労働者、季節移民が一丸となって精神的な助け合いだけでなく、人として住めるような場所や賃金のために闘うことだ。
ケイシーの生きかたやスピリットがトムに乗り移ったようになり、トムもなぜ、どうして不条理なことが起きているのか見極めるため、家族の元を去る。季節労働者が人間としての存在を勝ち取るために。
スタインベックはこの映画で作家として脚光を浴びたらしい。カルフォルニア州のサリナスのスタインベック美術館に立ち寄るのもいいねえ。
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