「周囲を利用して手にする栄光の虚しさ」イヴの総て 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
周囲を利用して手にする栄光の虚しさ
イヴは周囲を騙して利用してのし上がり、女優としての栄光を手にした。そして周囲からの称賛を受けた。しかしその称賛は、女優としての作られたイヴに対する称賛であって、彼女という人間そのものに対するものではない。イヴの本当の人間性を知っている者は彼女を軽蔑している。普通の人間ならそこに虚しさを感じるはずだ。なぜなら、人は人との関係で幸せを感じるものであるからだ。だが彼女はそうは感じないようだ。そこに異常性が表れている。そうやって周囲を利用して手にした栄光に、はたしてどれだけの価値があるのだろうか。
以下はストーリーの構成で気になった点。まず、マーゴやカレンといったイヴに近しい人々がイヴを嫌うようになるきっかけが、少し弱く感じられた。また、尺の問題はあるとはいえ、イヴが短期間でさも大物女優になったかのように見えるような描き方に、少し違和感があった。そのためややリアリティが薄れた印象となったので、☆は-0.5。
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