「女の旬は短いから美しい」イヴの総て らいぴゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
女の旬は短いから美しい
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雨の日も風の日も、楽屋口でそっと待っていたひとりの少女イヴを、ある大スター、マーゴが付き人にし、いつのまにかイヴはスターの役のセリフをすべておぼえ、密かにオーディションを受けトップ女優へとのぼりつめてゆく。そのイヴの傍にはかつての自分のような田舎娘が・・・というストーリー。
付き人時代、雑談の中で「得るものは少ないのにすべての犠牲を払って・・」と誰かが言うと、イヴは突然熱に浮かされたように言う。「得るものは少ないですって?!何はなくとも喝采はありますわ・・」それは彼女の真実の言葉。
マーゴの40歳過ぎた女優の苦悩というのも良く描かれていて、今よりもっと若い女性がもてはやされた時代だから、毎日毎日化粧を落とし、鏡をみるたびに容色がおとろえるのを一番よくわかっているのは自分だから辛かろう。まして恋人はまだ32歳、「まだ若いよ」などという言葉がなんのなぐさめになるだろう?ただいらだつだけだ。
マーゴを結果的には裏切って名声を手に入れたイヴ、天真爛漫なマーゴに友人は残った。イヴの周りには彼女を思う人は集まらないし、寄せ付けないようなところがある。それは彼女の(多分)過酷な生まれ育ちによるもので、他人をけおとさないと生きていけないという生き方がしみついているように見える。でなければマーゴとイヴは役者、という部分で誰よりも深くわかりあえたろう。
イヴ役のアン・バクスターは70年代になって「刑事コロンボ」のゲストでも出ていて、それも女優魂を感じさせる犯人役でよかった!
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