「「あざとくて、何が悪いの?」」イヴの総て Jolandaさんの映画レビュー(感想・評価)
「あざとくて、何が悪いの?」
鑑賞中、はからずもテレ朝の番組の、あの田中みなみと弘中ちゃんが口元に指を当ててるポーズが浮かびました。いや、イヴはあざといなんていう生易しいもんではないけど、、
1950年の映画で、このテーマで――いや、こんなテーマだからこそか――二時間強、全く飽きさせない。台詞量がけっこう多いので字幕を追い続けなければならないし、イヴと批評家のドウィットとの(とくに終盤の)やり取りは時代を感じさせるが、それにしても――、それにしても素晴らしい。二人の人物をカメラが素早く交互に追うシーンなど、とても'50年の映画とは思えない。
白眉は、何と言ってもベティ・デイヴィスである。素晴らしい。誰と映っていようが、つい、彼女を目で追ってしまう。
彼女が劇中で語る「女性論」のようなものは、今日(こんにち)では肯(うべな)う人はそうはいないと思うが、それでもやはり、この時代にこれだけ丹念に心理を描いた映画があったということ、そのことが素晴らしい。
端役で出ている無名時代のマリリン・モンロー、可愛らしいです。
安野モヨコの漫画「カメレオン・アーミー」に、雰囲気の似た話がありました、そういえば。短編をまとめたものなので、表題作↑ではないかもですが、ギャルOLが新任の地味子のことをはじめのうち邪険にしていたのが、いつのまにか自分の髪型もメイクも服も立ち振舞いもコピーされていて、、というお話。
この時代の映画らしく、大仰な音楽の流れるラストシーンもよかったです、この映画。とくに古い映画って、遠目であれアップであれ最後に主人公たちを映して終わることが多いと思うんですけど、この映画は違うんですよね。「次なるイヴ候補」を映して終わる。これ、当時はとくに新しかったんじゃないでしょうかね。