劇場公開日 2025年1月24日

「謎の『鍵男』。ラストの彼の晴れ晴れしい顔は今回の鑑賞で一番印象に残りましたね。」E.T. 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0謎の『鍵男』。ラストの彼の晴れ晴れしい顔は今回の鑑賞で一番印象に残りましたね。

2025年1月25日
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『スティーヴン・スピルバーグ IMAX映画祭』第2弾は80年代を代表する名作『E.T.』(1982)をグランドシネマサンシャイン池袋のW25.8m×H18.9m超巨大スクリーンで堪能。

『E.T.』(1982)
『ジョーズ』の興行収入を上回る超特大ヒット、玩具店でも関連グッズが溢れており、小学校でも話題でしたが、当時は『機動戦士ガンダム』のプラモデルに夢中、お小遣いとの兼ね合いで劇場鑑賞は断念。
すぐに地上波で観られると高をくくっていましたが一向に放送されず。
(結局公開から10年近く経った1991年10月に地上波は放送)
当時は『オレたちひょうきん族』のパロディキャラ「いーてふ」や『新春かくし芸大会』で堺正章氏が挑んだパロディコント「E・Te(いて)」などでぼんやりと把握していましたね。
初鑑賞は公開から6年後の1988年。
レンタルビデオ店も異例の大々的な告知展開、レンタル開始日まで指折り数えて待つほどの別格、プレミアム作品という印象が強いですね。

その後劇場でも何度か鑑賞しましたが、IMAXは初体験。
<宇宙人=不気味で獰猛な侵略者>という当時の固定観念をひっくり返すコペルニクス的新鮮さ、宇宙人と少年たちのハートフルなストーリーの素晴らしさ、E.T.をBMX自転車の篭に乗せて空を飛ぶ月夜と夕景のシーンは、ジョン・ウィリアムズの壮大なテーマ曲と相まって何度観ても心が躍る名シーンですね。
エリオット役のヘンリー・トーマスの演技も実に繊細、海亀から甲羅を外したようなE.T.のデザインも改めて奇跡的で秀逸ですね。CG技術がなくても、実に愛くるしく生き生きとしていましたね。

今回見直してみると、大人はエリオットの母のみで、終盤までは出てこず、<宇宙人と子どもたちの交流>にフォーカス、カメラのアングルも子どもとE.T.目線を意識していましたね。
そんな中で異彩は放つのはピーター・コヨーテ演じる「鍵の男」。
NASAの科学者と推測されるのですが、『わたしも10歳の時から(E.T.を)待っていた』という言葉は意味深。
大人になったエリオットを重ねているのか、はたまた10歳の時にE.T.と遭遇してずっとこの日を待っていたのか真偽は不明ですが、ラストの彼の晴れ晴れしい顔は、自分自身が歳をとったせいか今回の鑑賞で一番印象に残りましたね。
母船から登場した「E.T.」の仲間が彼をみかけて目配せしたりしたら涙腺崩壊でしたね。

公開から45年以上経過しても、何一つ古びぬ映画史に残る名作ですね。

矢萩久登
JUUUNさんのコメント
2025年1月25日

レビュー共感、ありがとうございます。
DVDの特典映像かなにかで、エリオットは子供の頃の自分、そして『鍵の男』キースは大人になった自分の投影だと、スピルバーグさんがおっしゃっていたと記憶しています。
今回のIMAX上映は、‘82年の劇場公開時のものと思われますが、なぜ20周年特別編にしなかったのか、それだけは残念でした。

JUUUN