「I’ll be right here は、5回出てきます!」E.T. Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
I’ll be right here は、5回出てきます!
「E.T.」2024.6/24 NHKBSにて観賞
最初に「E.T.」を観たのは、朝日新聞社内にあった旧丸の内ピカデリーである。業界関係者向けの国内最初の試写会で一般人は入れなかったが、知人の映画館支配人の方に招待状を頂いて観る事が出来た。旧丸の内ピカデリーは2階席の方が見やすいので、2階席に上がると2階の一角はゲスト用の専用席が用意されていた。
専用席には三船敏郎(スピルバーグ監督の「1941」に出演していた)や郷ひろみ(松竹映画に出演していた)他の芸能人もいたが、ビックリしたのは黒澤明監督が来ていた事だ。
なんと、その黒澤明監督に挨拶するために、スティーブン・スピルバーグ監督が通訳の戸田奈津子さんを連れて2階席まで上がって来たのだ。「うわっ、スピルバーグが来た!」目が点!
黒澤明監督への挨拶を終えて戻るスピルバーグ監督の後を追い、2階から1階に降りる踊り場で捕まえて当日配布された「E.T.」のプレスにサインを貰った。関係者ばかりなのでサインをもらいに行ったのは私一人であった。こういう時に限ってボールペンのインクの出が悪くSの文字がかすれた。
あれから、もう40年以上が過ぎたのか。
閑話休題。
植物を採取していて宇宙船に戻れず、地球に取り残された宇宙人E.T.と、彼を匿った兄弟妹の交流と別れを描いたSFファンタジー。
宇宙船の着陸を察知した当局は宇宙人を探す。取り残された宇宙人は家の裏庭でエリオットと出会う。父母は別居中で、母と同居している兄弟妹の三人は,弟エリオットが家に連れてきた宇宙人をE.T.(the Extra-Terrestrial)と名付けて世話をする。妹はE.T.のいる部屋に枯れかかった菊の鉢植えを持ってくる。
E.T.は妹が見ていたTV「セサミストリート」で「B」の発音を覚える。「Good」と褒められる。「E.T.」「Eliot」「Phone」「Home」等の単語を覚える。枯れかかっていた菊は生気を取り戻す。
「E.T. Phone Home」新聞のバック・ロジャースのコミックやTVを観たE.T.はエリオットの部屋やガレージにあった物を集めて発信機を作る。ガレージを探している時、鋸の歯で指を切ったエリオットの傷をE.T.は自分の光る指で直す。指には傷も残らない。
ハロウィーンの夜、仮装する人たちに紛れてE.T.を自転車のかごに乗せ森へ連れて行く。
自転車に乗ったエリオットは森に向かう時にE.T.の超能力で自転車ごと空を飛ぶ。ジョン・ウイリアムスの音楽に乗って、私も空を翔ぶ。(この時、月の前を横切る自転車のシルエットが後のアンブリン・エンターテインメントのマークとなる)
E.T.は森の中で自分が作った発信機を作動させる。果たして仲間に通信は通じるのか。
朝まで森で過ごしたエリオットとE.T.は体調不良となるが、既に家には宇宙人を探す当局の手が回っていた。エリオットとE.T.は隔離され手当を受ける。菊の鉢植えは再び枯れかかっている。
エリオットは回復するが、E.T.は死んでしまう。
エリオットに死んでしまったE.T.との二人だけの別れの時間を与えられると、E.T.は蘇生し、(枯れかかっていた菊は生気を取り戻す)仲間が迎えに来ると喜ぶ。蘇生したE.T.を宇宙に返すため、エリオットは兄と協力してE.T.を奪って、兄の友人達とBMXで森へ向かうが、行く手には警察が立ち塞がる・・・。
しかし、E.T.の超能力でBMXに乗った一行は空を飛び、森へ向かう。宇宙船がE.T.を迎えに来た。
妹は持ってきた菊の鉢植えをE.T.に渡す。
妹に「B.Good」(一番最初に覚えた言葉)「Be Good(よい子でいてね)」に掛かっている。
兄に「Thank you」(ハロウィーンで記念写真を撮る時にE.T.の隣にいた兄が発した言葉)感謝の言葉になっている。
そして、エリオットに「I’ll be right here」僕はここにいるよ。
公開当時、何でラストにいきなりE.T.がしゃべるのだという意見があった。
これは、この台詞に「僕はいつまでも君の心に」という字幕を付けた戸田奈津子のせいでもあったと思う。
しかし、この台詞「I’ll be right here」は、本作中でエリオットからE.T.に向けて4度も発せられている台詞なのだ。妹にも、兄にも、エリオットにも本人が発した言葉で別れを告げている。そして、それがダブル・ミーニングになっているのが素晴らしい。このことが理解されていないと上記のような意見になってしまうのだ。
今観ると40年前の時代を感じさせる。兄の着ている Tシャツはスペースインベーダー、エリオットの部屋にはスペースシャトルの模型、遊んでいるおもちゃはボバ・フェットとランドー・カルリシアン、ハロウィーンにはヨーダが登場する。
今回、NHKBSで放映されたのは1982年版であった。(2002年版は少年達に銃を向けるのはいけないというスピルバーグ監督の考えで、BMXの前に立ち塞がる警官の銃は通信機に修正されている)
当時の配給会社にコネがあった友人YYのおかげで、その後の新宿ミラノ座、新宿ピカデリー、渋谷パンテオンで行われた試写会でも観る事が出来た。公開前にこれだけ観た映画も他にないし、それほど素晴らしい映画だったが、同じ年に8部門を独占した「ガンジー」があったために、スティーブン・スピルバーグ監督はアカデミー賞で監督賞も作品賞も取れなかった。不運と言うしかないか。
1982年7月8日 丸の内ピカデリー 関係者試写会
1982年10月21日 新宿ミラノ座 試写会
1982年11月10日 新宿ピカデリー 試写会 その他劇場鑑賞複数回、TV、DVD複数回
三船敏郎に黒沢監督、スピルバーグ監督ですか。豪勢ですね!
うらやましい限りです。
テレビの放送で流しっぱなしの吹替などは見たりしていますが、劇場で見たのは封切りだけです。
改めて劇場で見てみたいなあと感じました。
それからレビューの短さですが、評価に関係なく意識して短くしている感じです。
何か書きたい時には結構長い文章も書いていますよ。懲りずにまたレビュー読みに来てくださいね。
遅ればせながら、共感いただきありがとうございました。初めてコメントさせていただきます。
大変貴重な経験をなさっていたのですね。
本作は本当にストレートに感動させてくれる良作だと思いますし、今の映画はいろいろこねくり回し過ぎてるのかなあと思った次第です。
こちらこそありがとうございます。
こちらのエピソードも素敵ですよね。
黒澤明や戸田奈津子、スピルバーグと同じ空気を吸っていたどころかサインまでもらったなんて!
そしてそんな思い出の映画が歴史的名作なのですから羨ましい限りで、少し嫉妬します。(笑)
それではまた。
なるほど〜!だからカエルを逃すシーンがあったんですね!全然繋がらなくて、ただ気持ち悪いシーンだなぁと観てましたw
エリオット役の子、あのキスシーンはすごく嫌だったそうです。きっとファーストキスだったろうから、公衆の面前はキツかったと思います😩
共感ありがとうございました。
生のスピルバーグってどんな感じでしたか?まぁ、役者さんではないから一見普通の方に見えるのかな?日本のアニメもどう思ってるか、色々興味深いですね。
おはようございます。
夏風邪は治りましたか?
「ゲーム」の拙レビューに対し、コメント・共感有難うございました。
慌てて修正しました。御指摘有難うございます。
「E.T.」のレビュー、拝読しました。
とても精緻で勉強になるレビューでした。流石、お詳しいですね。
これからもよろしくお願いします。では。
こんにちは。たった今読ませていただいたのですが、映画雑誌やエッセイを読んでる気分になりました。素晴らしいレビュー!
すごい体験をされてたのですね~うらやましいです。
公開当時私は小学生だったのですが、今は亡き父と最後に見た映画、初めて見たスピルバーグ映画で思い出に残っている作品です。@吉祥寺オデオン。D.バリモアとT.ハウエルを知った作品でもあります。
確かDVD を持っていたはずなので、I'll be right here 確認してみます。(phone home しかわかってなかった。)
おはようございます、ホビットです。ご挨拶させていただくのは初めてかもしれません。
共感をありがとうございます😊
E・Tの試写会の招待券だけでも素晴らしい事なのに、震えのくる顔ぶれでしたね✨✨得難い体験でしたね!
貴重なお話、興味深く拝見しました(´∀`)
「I’ll be right here」5回あったんですね✨✨心に残る言葉でした。。。
こんばんは♪
共感ありがとうございます😊
レビューもいつもながら素晴らしいですが、冒頭凄すぎ❣️ですね。
三船敏郎郷ひろみ黒澤明監督スピルバーグ監督❣️写真撮れなかったですよね、残念。
Mr.C.B.2さんの貴重なお話でした❣️