イージー★ライダーのレビュー・感想・評価
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諦めない
自由への疾走がぶつかる閉鎖的社会
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
初めて観たのは学生時代のころで、このころの自分はこの時代のこともアメリカのことも全く理解が浅かった。何故彼らが自動二輪に乗って走り回っているのかわからないし、ヒッピーのことも知らないし、自由の国のはずのアメリカの閉鎖的な社会のことも知らない。
だから突然敵意をむき出しにしてくる人々に対して、この人たちは何なのだろう、頭おかしいし、物語も理解できないという感想だけを持った。物語も行き当たりばったり。そのためこの時の評価はかなり低かった。
大人になって当時の時代背景も文化もわかってきた。社会の閉塞感と反体制主義と麻薬と無法地帯があった。それを前提にして観ると、随分と感想が違う。
自由の国のはずのアメリカは、実はかなり閉鎖的なうえに現代とは比較にならないくらい治安が悪く、気に入らないよそ者が自分たちの土地に入ってくるだけで敵意をむき出しにするのだ。そのためには殺人も簡単にするし、警察も当てにはならない。むしろ警察が自ら殺人を犯して事件を握りつぶす。宿泊の拒否から始まって、その敵意を作品中で徐々に増幅させていく。
麻薬取引で小さな燃料庫に容易に隠せるくらいの小銭を稼いだ主人公2人は、麻薬以外の行動はむしろ善人ですらある。宿泊を拒否されたら仕返しに放火の1つもしそうだが、彼らは悪態をつくくらいしかしない。しかし髪を伸ばし大型自動二輪で自由に移動する彼らは、地域に侵入するだけで地域の秩序を乱すよそ者でしかない。
そういえば日本でもほんのひと昔前は閉鎖的だった。喫茶店に行く奴は不良、ジーンズを履くやつは不良、髪の毛が長いやつは不良・・・。昔に発行されたりその当時のことを描写した本と漫画を読んでいると、そんなことが書いてある。だからそんなやつが目の前にいるだけで、お堅い自称教育者は補導と称して説教をし、血の気の多いやつは喧嘩を売る。
それが閉鎖的で不安定で治安の悪い当時のアメリカならば、人々はもっと過激な行動に出る。小銭を稼いでどこにでも行ける彼らが州をまたいで自由に旅をするだけで、これだけの敵意にぶつかる。これが当時の自由の国アメリカの現実なんだ。そう思うと最初はわけのわからなかった最後の場面も理解が出来るような気もする。
ワイルドに生まれた
圧巻
自由の代償
コカインの密輸で大金を手に入れたビリーとワイアットの2人が自由気ままに旅を続ける様を描いたロードムービーの傑作的一本。
オールディーなロックンロールナンバーにのせてチョッパーを転がす2人組を会話少なに描く内容で当時のアメリカ社会を色濃く描いているらしく予想の3倍くらいショッキングなエンディングになっている。
なかなかの雰囲気映画で理解は難しいかもしれないが若かりし頃のジャックニコルソンの怪演が楽しめる点は大きなポイント。
どうやら彼の出世作ともいえる作品らしく、アル中の弁護士という役どころがもはや素ではないのかと思うくらいにハマって見える笑。
出所早々にウイスキーを一口飲み、旨そうに噛み締めた表情の後に
ウグゥワアアアアアアンンンンクックックッーニッニッー!ワキカパカパー
なんすかそれキマってるんですか最高ですね笑。
自由の国アメリカと呼ばれる国で本当の自由を求めた男たちを容赦なく迫害する本当の自由を恐れるアメリカ社会の影を描いた作品(らしい)
ネットに載ってたfreedomとlibertyの井筒監督の解説が非常にわかりやすかった。
反体制映画ってジャンルがあったのよ
見たいと思っていたがタイミングが合わないまま幾年月。やっと劇場で鑑賞。
これはカウンターカルチャー映画として重要作。
だが監督ホッパーのわりとザックリ感も如実に出てて微笑ましさも。長めのUFO談義シーン必要かぁ?w 編集とかちょっと?なシーンも素人っぽさがあって。サイケなドラッグシーンも時代感あり。
ゆるめのロードムービーでありつつラストの突き放し方がまさにニューシネマ。
役者では若きジャックニコルソンが異様なオーラを放ってた。口を横に広げる笑い方がまったく変わってないね。
「カネで動いてるうちは自由になれないぜ」という台詞にドキりとしました。なぜなら私はカネのためなら友人も家族も捨てるをモットーにこれまで生きてきたからです。
全てが
バイクとラリルレロ
青二才の僕には まだ理解できない映画
ラストの衝撃。 悪魔は誰か。 USAの闇を見る。
自由がテーマの映画。
生き方の自由。
人を殺すことまで”自由”に含まれるのか。まるで、害虫や害獣を駆除するように。
様々な生き方が描かれる。
ヒッピー文化を体現する主人公の二人。
何物にもとらわれず、己の意思次第。
麻薬で一儲けしようとする。
大麻等のドラッグも嗜み、刹那的な人生。
特に信仰もないのか、信仰を持つ人からは驚愕の仕業も。(墓地であんなことをと目が点…)
その自由と引き換えに、宿に泊まれない等のリスクも負うが、それも引き受ける。
カソリックを信仰し、土地を耕し、自分の生きる場所を作る家族。
自分たちの力だけで作り上げたことへ尊敬の念を示す主人公の二人。
ちょっと意外だったが、フロンティアスピリットを尊ぶ精神は健全なのね。
お互い、自分たちの力だけで生きていくことが基本だが、だからこそ、助け合いの精神も健在。
家族にとっては、同じことの繰り返しの毎日に刺激を与えてくれる旅人として主人公二人を歓迎する。
同じヒッピー文化でも、仲間を必要とする集団。
その依存が新興宗教を作り出し…。
街の有力者の息子。
そのしがらみから逃げ出したい?
バイクで滑走するUSAの雄大な景色。
私でさえ、聞いたことがある曲の数々。
屋外上映会で鑑賞。大きなスクリーンの向こうに見えるのは晴れ渡った青い空。
旅する気分に、普段小さな建物の中で縮こまっている心が、解き放たれていく。
野宿の焚火に照らされた、ひそひそ話でさえ、心地よく。
アルコール依存症の癖に、それを自覚しているからこそ、大麻はやらないというジョージが初体験するさまは、三人とも20代の大人なのに、中学生の非行少年のように初々しく。
時々挟み込まれる今ここでの筋と関係ない映像。
フラッシュバックのよう。
トリップしていることを表現しているのか。
混乱しつつも、そのセンスの良さに目が惹きつけられる。
と、当時の破天荒な風俗が描かれて終わるのかと思っていたら…。
同調圧力。
自分とは違うものを排除することで、自分たちの正当性を確かめる。
若い娘が彼らに対して浮足立っている様から、彼女たちを奪われてなるものかという所有感もあるのだろう。彼女たちは自分たちのものだと。
彼らには罪の意識はない。
どころか、異端を駆除した英雄感すらあるのではないか。
集団(仲間)を守るという名目のもとに。
怖いのは、これがいじめの本質であり、この映画から半世紀以上たった今でも変わらないこと。
USAはトランプを復活させた。
でも、USAだけの問題ではない。
派閥、路上生活者への襲撃等、自分とは違う価値を持ち、違う習慣を持ち、違う見かけをしている人々に対して、日本や世界各地で行われている終わらぬ悲劇。
それを炙り出した映画。声が出ない。
☆ ☆ ☆
ピーター・フォンダ氏の映画は『世にも怪奇な物語』しか見ていないので、その雰囲気の違いにびっくり。美しい顔は同じなのに、こうも違うとは!
ジャック・ニコルソン氏の映画もまだ鑑賞している物は少ないけれど、アイビールックに身を包んだ、良家の息子で知的な職業についているというのは初めて。その上流階級らしさの品を残しつつのアルコール依存症。さすが!!しかも、舌の使い方とか、その後の『バットマン』や『ア・フュー・グッドメン』が見えてくる(笑)。
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