「デパルマニアが世間に自慢できる唯一の作品!」アンタッチャブル kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
デパルマニアが世間に自慢できる唯一の作品!
午前十時の映画祭にて。
ブライアン・デ・パルマに傑作や怪作は数あれど、万人に通用する作品としては本作が最高だろう。
映画監督デ・パルマの存在を世界にアピールした一作だ。
ケビン・コスナーとアンディ・ガルシアをスターに押し上げ、ショーン・コネリーにオスカーをもたらした功績も大きい。
本作で、良い脚本があればデ・パルマは立派に演出できるということが証明された。
明快で面白いストーリーは、デ・パルマがテクニックに尺を割いても破綻しない簡潔さだったのだ。
往年の人気テレビシリーズを映画化したのもハシリではなかったか。
後に『ミッション・インポッシブル』の一作目にデ・パルマが抜擢され(トムの熱烈オファーがあったと聞く)、テレビシリーズの焼直し映画の中でも最高の人気シリーズの先鞭を切ることになったのも、本作の成功があったればこそではないだろうか。
さて、この映画には伝説化した2つのシーンがある。
1つは、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)がバットで部下の頭をカチ割るシーン。
『コンフィデンスマンJP』で、座らせた部下の背後をバットを持って歩きながら江口洋介が言う。「このバットで殴られると思ったか?お前ら映画の観過ぎだ!」
いやいや、決して映画でよくあるシーンなどではない。垂直に見下ろすカメラで描写したデ・パルマの残酷演出に何よりも強いインパクトがあった所以だ。
もう1つは、ターミナル駅の階段での銃撃戦シーン。
公開当時、『戦艦ポチョムキン』の「オデッサの階段」を丸パクリだと賛否両論が巻き起こった。
映画の歴史上重要な位置にある名シーンへのオマージュという好意的な評と、恥ずかしげもなくコピーしたという批判。
たが、確かに乳母車が階段を転がり落ちるところは「引用」しているが、スローモーションによる緊張感と、何よりストーン(アンディ・ガルシア)が乳母車を受け止める最高にカッコいい場面は、デ・パルマのオリジナルだと言い切って良い思う。
そもそも、「オデッサの階段」はエイゼンシュテイン・モンタージュの象徴的シーンとされているが、デ・パルマが用いたモンタージュはグリフィス技法だろう。
他にも、名シーンを挙げればきりがない。
最も好きなのは、マローン(ショーン・コネリー)が襲われるシーンだ。これぞ、デ・パルマの真骨頂。
あの真っ直ぐな廊下のアパートメントは、このシーン設計のための特異なセットだったと思う。
紙マッチに住所が書かれた小道具の使い方も見事だった。
あくまでも“対世間”においてデ・パルマの最高作。誰にでもお勧めできる良作だ。
マニアとしては、エロティシズムが足りないところでナンバーワンとは言えないが。
kazzさん、やっぱblu-ray持ってても映画館で上映されると釣られてしまいますよね😁
本作も往年のテレビ番組だったんですね⁉️今では割りとありがちな昔のテレビのアップデートってこの頃から始まっていたんですね。なるほど、勉強になります✨
kazzさん、おはようございます。
デ・パルマの代表作を挙げろと言われれば、間違いなく筆頭にくる作品でしょうかね。
個人的に一番好きなのは『キャリー』だったりしますw
kazzさん、こんにちは。
アンタッチャブル好きな僕にとってはレビュー興味深く読ませて頂きました。
色々勉強になりました。凄い知識っすね。
ありがとうございます。
おはようございます。
この作品、午前10時の映画館で上映されているのですね。で、調べましたら、私の居住区の大都会の映画館かあ・・。うーむ。
ブライアン・デ・パルマ監督が本当にお好きなんですね。
デ・パルマ愛がビシバシ伝わってくるレビューですね、的確だし。
当時は、カポネが行政の奥深くまで賄賂を渡していた事で、殺人教唆の罪は逃れた・・、とエッセーで読んだ記憶があります。
kazzさんへ
色々と乗り切れなかったbloodです!
音楽も、家族とのシーンで流れる情感溢れるものはモリコーネらしくて良いんですが、緊張感のあるシーンでの音楽が、イマイチでした。その妻子も、ショーンコネリーが演じた警官も、架空の存在かと思うとハマれませんでしたw