暗殺者のメロディ

解説

1929年、スターリンによってソ連から追放された革命家トロツキーはメキシコに逃亡したが、1940年、クレムリンの密命を受けた暗殺者フランク・ジャクソンの手にかかって殺された。世界史上あまりにも有名なトロツキー暗殺事件をスクリーンに再現した暗殺劇。製作はジョセフ・シャフテル。監督はジョセフ・ロージー、原作・脚本はニコラス・モスレー、撮影はパスクァリーノ・デ・サンティス、音楽はエジスト・マッキが各々担当。出演はアラン・ドロン、リチャード・バートン、ロミー・シュナイダー、ヴァレンティナ・コルテーゼ、エンリコ・マリア・サレルノ、カルロス・ミランダなど。

1972年製作/104分/アメリカ
原題または英題:The Assassination of Trotsky

ストーリー

1940年。メキシコ・シティ。ゾカロ広場ではメーデーを祝う共産主義者たちのパレードがくりひろげられている。その広場の近くにあるホテルの一室に一組の男女がいた。男はフランク・ジャクソン(アラン・ドロン)、カナダ人といいながら軍役を免れるためにメキシコに来て貿易商をやっていることになっている。女は彼の愛人のギタ(ロミー・シュナイダー)、スターリンに追われてメキシコ亡命中の革命家トロツキー(リチャード・バートン)の熱烈な信奉者だった。ギタは時々トロツキーのもとを訪れては、通訳をしたり運動の支持者として働いていた。トロツキーは、かつてソ連においてレーニンの片腕となって働いていたが、スターリンの政敵として3人の子供を殺された上、国外追放にあい、今はメキシコの保護をうけながら妻ナターシャ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)と共に厳重な見張りと鉄の囲いの中で、スターリンによって差しむけられる暗殺者の危険と闘う日々を送っていた。ジャクソンは、表面、政治に無関心を装っていたが、実はソビエトのゲー・ぺー・ウー(国家政治保安部)と連絡をとり、秘かにトロツキーの命を狙う暗殺者だった。彼は、トロツキー家に自由に出入りできるギタを利用するために、彼女と関係していたのだ。一方、広場のパレードの中にもう一群の暗殺者たちがいた。スターリン派のスパイ、フェリーぺもその1人で、彼はトロツキーを警備している若いアメリカ人のシェルドン(カルロス・ミランダ)を、酒と女でろう落させていた。5月23日の夜。ソビエト政権に共鳴する土地の戦闘的共産主義者たちの一団が、メキシコの画家シケイロスに率いられてトロツキー家を襲撃した。もちろんフェリーぺが陰で操っていた。シェルドンの誘導で、トロツキーの寝室に弾丸をぶち込んだ。ベッドの下に身を隠したトロツキーは無事だったが、シェルドンは人質として連れ去られた。数日後、一味は捕えられ、シェルドンは死体となって発見された。暗殺に失敗したフェリーぺは更迭され、ジャクソン1人が暗殺にすべてを賭ける運命になった。ある日、トロツキーに会って彼の役に立ちたいというジャクソンを、ギタはトロツキーに夫として紹介した。以後、ジャクソンはトロツキーと2人だけになるチャンスを作るため、彼に見てもらう原稿を執筆し始めた。その間、彼は町の古物屋から1本の登山用ピッケルを買った。数日後、ソフトをかぶり、白いコートのエリをたてたジャクソンはトロツキー家を訪れ、持ってきた原稿をトロツキーに渡すと、それに眼を通している彼の背後に回り、その後頭部をじっと見つめた。書斎には誰もいない。暗殺には絶好のチャンスだったが、トロツキーの犯しがたい雰囲気に押され何もできなかった。1940年8月17日。ジャクソンは再びトロツキー家を訪れた。前と同様、ソフトをかぶり、上天気だというのに白いレインコートを着ていた。いつものように原稿に眼を通しているトロツキーの後頭部めがけて、ジャクソンは渾身の力を込めてピッケルをふりおろした。鈍い音と共にピッケルの先がトロツキーの頭にくい込んだ。悲鳴を聞いたナターシャと警備の男たちが飛んできてジャクソンを取り押さえた。事件を知ったギタの驚きは大きかった。彼女は警察に留置されているジャクソンの姿を見ると、「その男を殺して」と泣き叫んだ。一方、つめよる刑事の尋問に、おどおどと顔をあげたジャクソンは、ポツリと一言「私はトロツキーを殺した」とつぶやいた。その頃、偉大なる革命家トロツキーは、最愛の妻ナターシャの腕に抱かれながら、61年の波乱に富んだ生涯を終えて、永遠の眠りについた。

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映画レビュー

4.0ドロンがかっこいい

2023年5月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

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高校時代、正月の深夜にテレビ鑑賞。
スターリンに追われ、メキシコに逃れたトロツキー。そこも安息の場ではなく追手を警戒する毎日。そして女性秘書の恋人が、という展開。暗殺者がかっこいいと言うのはマズいが、ドロン様だから致し方ない。

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