「パガニーニの主題による狂詩曲」ある日どこかで Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
パガニーニの主題による狂詩曲
総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
ピアノの独奏による美しい透明な旋律から始まり、弦楽器が入り急速に広がって壮大に盛り上がり、そして最後に静かにゆっくりと消えていく。誰が作曲した何ていう名前かも知らないけれど美しい曲があって、十数年もたってからようやくその曲の題名がわかった。ラフマニノフ作曲、パガニーニの主題による狂詩曲。
そしてその曲が使われその曲をクラシック好き以外の人にも有名にした有名な映画があるとその後知って、それからずっと見たかった作品がこれ。
時代的に恋愛が時間をかけて自由にするものではないのかもしれないが、会って幾ばくもないのに恋ではなく思いつめた純愛になっているのは違和感があった。マッケナはロビンソンに束縛され苦労もしただろうし、だから自分を変えてくれる予言の人が現れる瞬間を長い間待ち望んでいたのだろう。コリアーも最初の学生時代の不思議な出会いからホテルの写真へと繋がる過程で彼女に興味を持っていた。二人は出会う前から互いの存在を待っていた。だがその後の純愛に発展するのが早急すぎて重みがなかった。
その後の彼女がどうやって現代に生きる彼を知りたどり着いたのか、時計は結局誰が手に入れてどこから現れたのかもわからない。
だけど物語上での矛盾や説明不足な部分があっても、作品の中にはそれ以上に二人の相手に対する想いがあった。時を越えて出会った二人が、時の狭間に阻まれた哀しさが伝わってきた。パガニーニの主題による狂詩曲がそんな二人を象徴していた。
現代と過去では過去の場面のほうが赤色が強くて懐古的な色合いになっている。わざと着色するように撮影していると思ったら、現代はコダック、過去は富士と感光材を変えたことによる効果だそうで、微妙な違いだが過去の場面は古い映画の色合いのようだった。