アラビアのロレンスのレビュー・感想・評価
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壮大
ベドウィン族、ハリス族、ハジミ族と部族抗争の激しい地域。果てしなく続く砂漠のどこに境界線があるのかさっぱりわからないというのに、アラブ人はかなり地理に詳しい。アリと再会してからはハイフェットの首領アウダをも味方につけ、トルコ軍の構えるアカバへ向う。
仲間を増やしていっても部族間での争いがある。仲裁するためロレンスがかつて助けた男ガシムを処刑することに・・・かなり苦悩するシーンではあるが、ちょっとスピーディ。
功績が認められ少佐に昇進したロレンスは戦地に戻り、アラブ人からは英雄と崇められトルコ軍との攻防を続けていた。人を殺したことや、自分がアラブが好きなことでアイデンティティに疑問を持ち始め、やがてはアラブ国民会議として独立するまでに至る。後半には“オレンス”と呼ばれていて、なんだか愛着が沸いてきました。
劇場で観ていたら満点つけてたかもしれないけど、テレビじゃストーリーを追ってしまいがち。見たかったなぁ。
"砂漠の英雄"が辿る数奇な運命
第35回アカデミー賞作品賞受賞作。
Blu-rayで鑑賞(吹替)。
イギリス軍の一少尉だった男がアラビアでレジスタンスを指揮し、オスマン帝国軍との戦闘に勝利してアラブ独立を成功に導くまでを、壮大なスケールで描いた歴史超大作。
実在のイギリス陸軍将校トーマス・エドワード・ロレンスのバイク事故死から幕を開けた物語は、生前における栄光に彩られたアラブ独立闘争での活躍を振り返っていきました。
砂塵を巻き上げながら、縦横無尽かつ迫力たっぷりに描かれた砂漠の戦闘シーンのスペクタクルが秀逸。大量のエキストラを動員した映像に漂うリアリティーに心を奪われました。
独立後、その立役者であるロレンスは白人がアラブの独立運動を指揮していたと云う事実が邪魔になったがために、共に戦った仲間たちから排斥されてしまいました。
民族衣装を纏って見舞いに訪れた戦傷病院ではアラブ人と間違われた挙句、「この状況をつくりだしたのはお前たちだ」と罵られる始末。アラブ議会では民族間のエゴによって政治が混乱していて、様々なことが後回しにされていました。
これまで自分がやって来たことにはいったいどんな意味があったのだろうか?―達成感と高揚に満たされていたロレンスの心に、圧倒的な絶望と虚無感が去来した瞬間でした。
砂漠の陽光に映える白の民族衣装を身に纏い、アイデンティティーの狭間で苦悩しながらも、アラビアを救うため、ひとりのアラブ人として激烈な戦闘に参加したロレンス。
そんな彼に待ち受けていたものは、華々しい名誉と栄光だけではなく、それが裏腹に隠し持っていた残酷なまでの孤独と寂寥だったのかもしれないと思いました。
盛者必衰と云うか、英雄はその存在自体が劇的過ぎるものであるが故に、役割を終えてしまえば途端に疎ましがられ、必要無いとばかりに虐げられてしまうと云うことか、と…
悲しい運命ですが、それは歴史が雄弁に物語っていることでもあります。英雄譚の裏側に秘められたものの正体は、彼もひとりの人間であったと云うことかもしれません。
※修正(2022/07/11)
●英雄の強さと弱さ。
史実の実在の人物ロレンス・・
冒頭でロレンスのバイク事故死の場面から始まる。ロレンスは実在したイギリス陸軍将校だ。第一次世界大戦中のサイクス・ピコ協定の成立に尽力した・・当時、アラビア半島で強大だったオスマン帝国を英仏露で解体した史実。不安定な中東問題は現代まで続く。映画ではアラビア半島のヒジャーズ鉄道の爆破などロレンスの作戦を克明に描く。またアラブに溶け込もうとラクダを砂漠で乗りこなした目の青いイギリス人の将校の困難は絶えない。大空の下に広がる広大な砂漠の風景など映像が続く。ロレンスの一生が作品では226分余りの長編となっている。途中に休憩がある(笑)。また「アメリカ映画ベスト100」では5本の指に必ず入る名作・・1962年のイギリス映画。
ピーター・オトゥール❤️映画館で再会 加筆
2020年9月7日。
久しぶりの再会。やはりIntermissionが入った。昨日は早く就寝、今朝は早起きして朝焼けを見てシャワーを浴び朝食をしっかり食べ、エアコン対策&水持参と万全の気合いで行ってきました。
忘れていた箇所もあったが覚えているところも結構あったのが意外だった。でも、ロレンスの苦悩は高校生の時は全くわからなかった。
前半と後半でロレンスはかなり変わる。髪も変わる。行動も変わった。自分が所属し帰巣する共同体、社会、文化はどこなんだ、自分の肌の色の為に好色の目に晒されたこの自分はアラブの衣装を纏ってアラブの友と一緒に歩いていたのに。「肌の色」を意識するのはそれが黄や赤や黒の時。でもそれが白で「美しい」ことで鞭で打たれ逆の世界を痛みで知ったロレンス。昇進していくに従って彼の気持ちはどす黒くなっていく。
部族間でいがみ合っていてはだめだ、対トルコでまとまってアラブ共同戦線をはっていたのに、実は裏で王子ファイサルとイギリス、フランスは繋がっていた(自分のこの理解が正しいかわかりません)。爺さん達は早く引退したいとうそぶきながら「平和」への話を進めていく。砂漠に行って持てる知識を総動員させて実行し、命を大切にすることを行動をもって実践し、相手の懐に入って信頼を勝ち取った青年は自分のアイデンティティ、与えられた使命と貢献の意味に苦悩する。ロレンスの弱点でもあり素晴らしいと思える点は、自分の感情を鏡のように自分で見て明確に意識化できることだ。結果的に煙たがられ蚊帳の外におかれ、欲しくもない昇進シールを沢山貼られてほっぽり出される。
ピーター・オトゥールは英国軍の制服を着ているときはとても変な歩き方をする。この映画に限らないけれど。フワフワと斜め。腕もその長さをもてあましているかのようにピョンピョンしてる。
ロレンスは教養があって複数の言語ができるインテリでエリートでなおかつ父親は貴族。それが彼にとってどうでもよいことなのか自明のことなのかはよくわからない。一人の命を一人で救い出した最初のロレンスと後半のロレンスはあまりに異なる行動をせざるを得なくなってしまった。
イギリス人の英語とアメリカ人記者の英語で、英米の言葉の違いは自分でも少しだけにすぎないがわかった気がする。イギリス英語には遠まわし表現と皮肉とユーモアが漏れなくついてくる。めんどくさい!でも発音はイギリス英語の方が好きだと思った。そのアメリカ人記者に聞かれた2つの質問の二つ目が「なぜあなたは砂漠に魅了されるのか」。それにロレンスは、cleanだからと答えた。ここだったんだ。
オマー・シャリフ、アレック・ギネス、アンソニー・クイン、ホセ・ファーラーの堂々たる風貌。これだけ立派な顔立ち、今、世界のどこに居るんだろう。
泣いてないけど泣けてきた。理由は、好きだけどこんなに長い映画、映画館であと何回見ることができるんだろう、これがピーター・オトゥール=ロレンスを見る最後かなと思ったから。
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長くて喉が渇く映画だけれど、大きな映画!砂漠ばかり見てるから本当に喉が渇いた。高校生位の頃に見たけれど、休憩時間が入ったのはフィルムを巻くため?観客にとっては水分補給のための休憩だった。今はデジタルだから休憩ないのかな。
砂漠は清潔だ、というのは、この映画で聞いたのだろうか。
ピーター・オトゥールの金髪と青い眼に魅入られました。それからずっと好きでした。数年前に亡くなって悲しかった。
それぞれの正義
砂漠の大地に刻まれた歴史の1ページ
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 80
ビジュアル: 90
音楽: 80
環境も文化も何もかも違う世界で、イギリスの国益のために命懸けで生きる。砂漠の中で砂嵐に合い、流砂の中に人が引きずり込まれる姿を目の前にし、部下が落伍し自らの生命を賭して救出に戻り、その救った者をまた自らの手で処刑する。広大な乾燥した大地の中において、人の生命も何もかもがちっぽけな存在だと思い知らされる。
砂漠の部族はイギリスの社会とは著しく異なる価値観を持つ。彼らとの面会や交渉や移動や戦闘、何をするにもそれら一つ一つが欺瞞と驚きと危険と興奮に満たされ、国家の思惑と陰謀に踊らされながらも何とも厳しく壮大な劇を作り上げた。
実写による本物の映像の凄さはやはり特筆すべきものであろう。CGが実写ではあり得ない素晴らしい世界を作り上げる反面、そのあり得なさや不自然さに不満を抱くこともある。だがCGがこの時代になかったことがこの映画では幸いした。セットの豪華さ、戦闘場面の迫力、砂漠の厳しさと美しさが見事である。
変わってゆく自分
古い映画だが初見
映画以前の問題が山積み
上映中にしゃべる人
上映中に音をたてて食事をする人
携帯の電源を切っていない人
…映画を見たいなら見ればいいけど、
ピクニックがしたいならしかるべき場所へ行けばいい
自分より年下の私から
シーッと指をたてられて、
……悲しいと思ってほしい
.
.
映画について
この映画のよさについて私はあまりかんじなかった
制作年を考えればビジュアルの力の入れ方は特筆すべきものかもしれないけれど、
不変のものとは思えないために、
そこまで関心はもてない
善なる者であったはずの、
自分の中の狂暴性に相対するロレンス
謙虚であったはずの自分が、
我をうしないつつある事に気づくロレンス
映画全体の長さからすると、
そんな瞬間の表情がさらっと流されてしまったように見えるのだが、
気のせいか
それとも意図的か
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もし意図的なら…
私の望む映画ではなかったかもしれない
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