「グッド•ワイフで弁護士のバイブルと言われていた」アラバマ物語 りかさんの映画レビュー(感想・評価)
グッド•ワイフで弁護士のバイブルと言われていた
冒頭、主人公のアティカス•フィンチ弁護士に質問する幼い娘スカウトとの会話。
今の人貧乏? そうだよ。
うちは? うちもそうだよ。
カニングハムさんぐらい? いや。
なぜ? カニングハムさんは農業だから、恐慌をモロに被ったんだ。
なぜ野菜をくれるの? 相続手数料さ。
このやりとりで父のアティカスは、娘に来客のことを貧乏かと聞かれて躊躇なく頷く。
貧乏を差別的に認めているのではなく、
事実として認めているので蔑みの気持ちは微塵も無い。さらには娘にうちは?と聞かれてうちもだと答えている。
このシーンで弁護士アティカスの公正誠実を感じ取れた。
1932年頃、アメリカ南部まだ黒人に対しての差別意識が根強く残っているアラバマ州での話。
のどかな風景が広がり兄ジェムと妹スカウトは自然の中で遊び楽しく日々を過ごしている。子供達に勝手にブーと呼ばれている男や少し気難しいデュボースさんが隣人である。
アティカスの妻、子供達の母親は、亡くなっており、家政婦のギャルが家のことをしてくれている。
夜に、判事が来てトム•ロビンソンの裁判の弁護を頼みに来て引き受ける。
突然、アティカスになじって来る男が現れる。
夜にジェムとスカウト、ブーの家の周り沼地にはまり探検中に銃声。
翌朝学校でスカウトがウォルターと喧嘩して兄ジェムがとりなす。
家で父の膝に抱かれながらくつろぐスカウトに自分を抑えるように諭す。相手を知るには相手の身になって考えるんだ。妥協という言葉を知っているか。お互いが譲り合うんだ。父の説明に感心するスカウト。父に説明できないことは無い。
父の凄いのはそれだけではなく、狂犬病の犬が近くに現れた時、保安官と父が様子を見て見事父が一発でし止める。13,4歳頃から銃を触っていたそうだ。
夜、トムの家へ妻に会いに行くと、ついて来たジェムが車に乗っているところに以前アティカスをなじった男が現れ、
「黒人びいきめ❗️」と吐き捨て立ち去る。
遅くまで家にいてくれたギャルを車で送って行く父。
またもや、学校でセシルとケンカするスカウト。
スカウトは弁明する。
「セシルが、黒人野郎を弁護するのか?と先に言って来たの、だからよ。」と。
父は、どんな事があってもケンカをするなと何度も繰り返して諭した。
アポッツビル拘置所に収監されていたトムを連れ出したのを見たアティカスは、留守をギャルに頼み入り口の番をしに事務所に赴く。
セーレムが募ったのか、20人ほどの男たちが、棒を携えて怒りながらやって来て、
トムを出せ、と口々に喚く。
相手にしないアティカスの横にしゃしゃり出たスカウトは、集団の中にいるカニングハムに向かって、
息子と同級生だね、とか、相続のこと上手く行った?と話しかける。
バツの悪そうなカニングハム。
しらけて戦意消失の男たち。皆帰って行った。
だが、アティカスは、寝ずの番をする。
いよいよ公判だが超満員、2階の傍聴席には黒人が席を占める。そこに混じるジェムとスカウト。
ユーエルは娘のメイエラが、トムにレイプされ殴られたと主張。しかし、メイエラは、殴られたことを初め忘れていた。
なぜいつも手伝っていたのかと検事の質問にトムが
かわいそうだったから、と言った途端、
黒人が白人をかわいそうだと?と聞き返す検事。
さらにトムは、メイエラにキスされ逃げ帰ったと証言。
白人が黒人を誘惑した罪、と言われると、
メイエラは、金切り声で自分を信じないなんて男は皆ダメだダメだと叫び続ける。
レイプされたらこんな事言わない、言えないと思う。
メイエラの顔の傷は左利きの仕業でトムは左手を使えない身体だとアティカスは皆の前で証明もしたが、
陪審員の評決は?
アティカスが裁判所を出て行く時、2階の黒人たち皆が次々と立って、アティカスを見送るシーンが印象的だった。立たないジェムやスカウトに黒人の牧師が立つように促す。
アティカスの弁護は立派なものだと認めていたからだろう。
しかし、再審請求しようと考えるアティカスの元へ保安官からの知らせ。
すぐにトムの家に訃報を告げに行くと、
ユーエルがやって来てアティカスを呼び出し唾を吐きかける。
ハロウィン、夜遅く森の中帰途につくジェムとスカウトが襲われるが、誰かに助けられる。
ジェムを家まで運んで行く者。
スカウトは、ブーだと言う。
いつもこの兄妹のことを陰ながら見守り木の洞に
プレゼントの人形や時計を入れていたブー。
ブー、つまりアーサー•ラドレーに
子供たちの命の恩人だと礼を言うアティカス。
コメントありがとうございます。
>貧乏を差別的に認めているのではなく
→思い返せばそういうシーンでした。彼の人物像をさりげなく示す素敵なシーンですね。
グレゴリー・ペックは『ローマの休日』のインタビューで「元々自分が主役でヘップバーンは脇役扱いの予定だった」という趣旨の発言をしていたのを覚えています。
当時のアメリカではそれだけの大人気スターだったのですね。
りかさんへ
トトロのほうへコメント下さっていたのですね!
「トトロと本作品の類型性」は、景色ではありませんよ、
①家族構成が同じで父子家庭であること。
②父親の職業が先生であること。
③母親(夫にとっては妻)を失った子供たちやお父さんを、トトロやプーが助けに来てくれるという筋書きです。
迷子になっていたお母さんのいない子供たちを、森の中で助けてくれたのはトトロとプーでしたね。