雨の訪問者

劇場公開日:

解説

雨の降るある日、不気味な男が訪れ、ひとりの女が殺人事件にまきこまれて行く。製作は「さらば友よ」のセルジュ・シルベルマン、監督は「パリは燃えているか」のルネ・クレマン。脚本は、フランス推理小説界の第一人者である「シンデレラの罠」のジャン・セバスチャン・ジャプリゾのオリジナル。撮影はアンドレア・ヴァインディング、音楽は「白い恋人たち」のフランシス・レイ、編集はフランソワーズ・ジャヴェがそれぞれ担当。出演は「さらば友よ」のチャールズ・ブロンソン、「ある日アンヌは」のマルレーヌ・ジョベール、「野性の眼」のガブリエレ・テンティ、ジル・アイアランド、マーク・マッツァ、ジャン・ガヴァンなど。

1970年製作/フランス
原題:Le Passager de la Pluie
配給:日本ヘラルド映画

ストーリー

その日は雨が降っていた。マルセイユにほど近い海岸町--バスから、グレイのコートに赤いバッグをさげた男が降り立った。メリー(M・ジョベール)は、いぶかしそうにその男を見た。この町には訪れる人も余りなかったからだ。町の、洋服屋で、メリーはその男を見た。というより、その男がメリーをつけているような不気味さがあった。そしてその夜、夫トニー不在の家でメリーはその男に襲われた。夫は飛行機のパイロットで留守がちだ。メリーは、ショット・ガンで地下室にいる男を殺した。証拠を焼き捨て、死体は海へ--。翌日、友人の結婚式で、メリーはドブスというアメリカ人(C・ブロンソン)と知り合った。がっしりして、口ヒゲをたくわえた男は、「なぜあの男を殺した」といきなり聞いてきた。警察も、その殺人事件で動きだした。だが、メリーはドブスに、自分は殺しなどやらない、と言い張った。ドブスの目当ては殺された男のもっていた赤いバッグだった。ドブスはアメリカの陸軍大佐。その赤いバッグには大金がかくされていたのだ。だが、メリーが駅でみつけた赤いバッグには金などなく、夫のトニー(G・テンティ)の写真が入っていた。写真の裏には自分たちの住居が書かれてある。トニーほどうやらパイロットという職業をいいことにして、方々で女をつくり密輸にも関係していたらしい。警視のトゥーサン(J・ギャベン)も友人のニコール(J・アイランド)もくさい。自宅に侵入し、ドブスはメリーをアルコール攻めで拷問した。やがて、殺された男の情婦が犯人としてあげられ、メリーは自分の車の中に金の入ったバッグを見つけた。だが、ドブスはしつようにメリーにつきまとう。被害者の情婦の住んでいたパリを訪れたメリーは、うさんくさい男たちに拷問されたが、かけつけたドブスに救われた。一体メリーに何が起ったのだろう? 雨の訪問者も、金も、何もかも空想好きなメリーの夢だったのだろうか? 本当の犯人は、逮捕された情婦なのかも知れない。友人のニコールと夫との関係を知ったメリーは動てんした。すべてが信じられない悪夢のようだ。やがてドブスはメリーのもっていた大金を手に入れ、雨の午後に起ったことのすべてを知った。海から引き上げられた死体の手の中から、メリーのドレスのボタンが出てきた。だが、不思議なことにドブスはメリーを捕えなかった。証拠のボタンを返しただけ。夫と共にロンドンへ去るメリーを残して、ドブスは港の方へ去って行った。

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スタッフ・キャスト

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オソレゾーン

映画レビュー

3.0夫人

2021年3月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

全ての衣装が白色のミニで、シフォン、エナメルレザー、と色々可愛らしかった。正当防衛なのに警察にとどけないからこの話ができた?

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リカ

4.0ブロンソンはかっこいい

2021年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

レイプされた女(マルレーヌ・ジョベール)は、すきを見て男を殺してしまう。
警察に知らせず死体を海に投げ込む。
翌日、謎の男(チャールズ・ブロンソン)が現れ、知っているので真実を話せ、と迫ってくる。
シラを切り通す女だったが・・・。
今回が一番楽しめた。

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いやよセブン

4.0ブロンソンが最高だね

2021年3月5日
Androidアプリから投稿

中学生の時みんなブロンソンが好きだった。「狼の挽歌」「さらば友よ」そしてこの「雨の訪問者」憎たらしいほどカッコいい。その後ハリウッドでも様々な作品に出ていたなあ。「狼よさらば」と「マジェステック」懐かしい。あの頃に帰りたい。新宿「ローヤル劇場」にタイムスリップしよう。

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哲司

3.5雨中の靄に揺蕩い、浮遊感を楽しむ作品

2020年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

チャールズ・ブロンソンという、決して器用ではないものの、スクリーンに現れるだけで野性味溢れる男臭さを放散する俳優がいました。
映画史に残るような名作に主演することはなく、専らその隆々たる肉体を駆使したアクション映画が多かったのですが、年輪を重ねた皺面に口髭を蓄えたその特異な容貌によって独特の異様な存在感があり、特に日本では長年人気を保ち続けました。
日本での彼の人気を決定づけたのは、1970年にオンエアされた男性化粧品マンダムのCFで、ジェリー・ウォレスの歌う、軽快でリズミカルなBGM「男の世界」も相俟って爆発的なブームとなり、商品も空前のヒットを遂げました。
その同じ年の春に公開されたのが本作です。
僅か数秒間のマンダムCFの衝撃的登場に加え、本作で彼が演じた、渋味と苦味、侠気に少しの妖気を纏ったハリー・ドブス役こそ、彼の野性的な魅力を増幅させ、一気に日本での人気スターの座を射止めたといえるでしょう。

フランスの名匠ルネ・クレマン監督が、晩年に取組んだミステリードラマの傑作です。
南仏の海辺の小ぢんまりとした町を舞台に、タイトル通り事件は小糠雨がそぼ降る日に起こります。驟雨、霧雨、叢雨、白雨、作中の殆どのシーンが雨中で展開していくため、全編を通じて憂鬱な空気が蔓延します。
本作はマルレーヌ・ジョベール扮する若い新妻メリーが主人公であり、常に肌の露出度の大きい白い衣装を纏い、まるで少女のような仕草や表情は可憐で純情で、いかにも危うい一方で、物語の進行につれて気丈で強かな一面も兼ね備えていきます。
彼女が起こした事件とその揉消し、そのプロセスで起こる謎の事件が、全てメリーの視点による仰角気味のカットで映像が作られるので、観客は自然と不安と猜疑に苛められながら、徐々に彼女に感情移入していきます。
ハリー・ドブスは、彼女に付き纏いその謎を追及する謎の人物であり、スパイラルに謎が深まり、観客は終始亜麻色の靄に包まれたような茫漠感と当惑感覚に麻痺させられていきます。
南仏、豪奢な館、消えた大金、雨、謎の男、そして二つの殺人事件、フランシス・レイが奏でる流麗で寂寥感漂うBGMが、物語を一層ミステリアスで妖しくさせ、どこかアンニュイな情感を鏤めさせながら、映画はエンディングを迎えます。
ルネ・クレマン監督が創り出した靄の中をただ揺蕩い、独特の浮遊感を味わうのが本作の醍醐味といえるでしょう。

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keithKH
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