劇場公開日 1953年

「MGMミュージカルの金字塔。個人的にはジーン・ケリーよりもドナルド・オコナーの芸が好き。」雨に唄えば あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0MGMミュージカルの金字塔。個人的にはジーン・ケリーよりもドナルド・オコナーの芸が好き。

2025年3月5日
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鑑賞方法:映画館

まず先行レビューに「サイレントからのトーキーに移る時代の人々の苦労がしのばれた」みたいなものがあるがこれはもちろんそんな深刻な話ではない。映画の中で名前が出てくるワーナーブラザーズの「ジャズシンガー」は1927年の作品なので本作の四半世紀前。その時代を舞台にしているから映画の中で制作されている「踊る騎士」はモノクロなのです。この時代のアメリカ人の25年は大きいです。ほとんどフランス革命を描くのと変わらない時代感覚で考察とかはめちゃくちゃ。でもそれでイイんです。MGMのミュージカルなんだから。テキトーな(この作品はそれなりに入り組んでいるが)ボーイミーツガールのコメディ仕立ての筋に素晴らしい楽曲とパフォーマンスが乗っかっているということだから。
ところでジーン・ケリーですが、MGMのミュージカルスターとしてよくフレッド・アステアと並び称されるけど、実は年齢は13歳も下になります。アステアはそれこそ無声時代から映画に出ていて最初のピークは30年代。かの素晴らしいジンジャー・ロジャースとのコンビはほとんどがRKO作品だった。それに比べるとジーン・ケリーはその活躍はほとんどが戦後からで、最初から最後までMGM。
実は私はあんまりジーン・ケリーは好きではない。あのマッチョな体型もザキヤマっぽい顔もそうだけどアート志向、バレー好きみたいなところがね。この映画を観ていると本当に身は軽いしコメディ演技もできるのだけど。
だから私のこの映画のイチオシはドナルド・オコナーのパフォーマンスです。特にボードヴィリアンとしての実力を惜しみなくみせてくれるナンバー「Make 'em Laugh」とかね。
そうそうこの作品はスタンリー・ドーネンとジーン・ケリーの共同監督です。おそらく全体の構成は職人ドーネンがみたのだと思う。明らかに他のシーンとはトーンが異なる「Broadway Rhythm Ballet」の部分だけはケリーがディレクションしたのでしょう。ここだけモダンでアブストラクトな感じが他から浮いちゃっています。ジーン・ケリーの高尚ごのみというか具体的にはバレー好きがよく出ています。この部分だけはデビー・レイノルズでは相手が務まらなかったのかシド・チャリスがパートナーになっているところが面白いですね。

あんちゃん
大吉さんのコメント
2025年3月26日

ジーン・ケリーのダンサーとしてのこだわりなんでしょうね。
「巴里のアメリカ人」でも長い長いダンスシーンがありました。

大吉
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