「フォード監督はネイティブアメリカンを勧善懲悪の相手として描くばかりではなかった」アパッチ砦 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
フォード監督はネイティブアメリカンを勧善懲悪の相手として描くばかりではなかった
何故この映画を観たか、実は以前、
私が「捜索者」について、フォード監督は、
「シャイアン」までは“ネイティブアメリカンを
勧善懲悪の相手として描き続けた映画人生”と
投稿したところ、ある方から、
“フォード監督は、
視野の広い価値観を持つ人道主義者
…ネイティブアメリカンを援助するために
映画制作をしていた”と教えて頂き、
また、未見だった「アパッチ砦」の
英雄像への寛容性の言及もあり、
今回の鑑賞になった次第でした。
話は、無能で好戦的な司令官と、
それを諫める副官との葛藤が中心の
ありがちな展開で、ラストに象徴的な
帽子の継承シーンはあるものの、
若者の恋愛や下士官等の周辺要素に
時間が割かれ過ぎ、また
見事な騎馬・幌馬車の疾走シーンの
多用にも係わらず、
肝心の主人公二人の人間描写が弱いため、
メインテーマへのまとまりに欠け、
ラストシーンにつながる緊迫感の高まりも
感じなかった。
果たして作品の出来としてはどうだろうか。
さて、フォード監督の映画姿勢だが、
この作品では、
入植者のネイティブアメリカンに対する
理不尽な対応や、
他の作品とは双方が真逆に見える等、
他のフォード映画には無い描写もあり、
彼が、決して一方的にネイティブアメリカン
を勧善懲悪の対象としていた訳ではない
ことを、他の方のアドバイスで知ることが
出来た。
私は“映画.com”で投稿の皆さんの
レビューを拝見させていただく時、
単に共感の時だけでは無く、
知らなかった情報を頂いた時や、
自分とは異なる発想での解釈があることを
教えて頂いた際も
“♥共感”クリックさせていただいています。
何かと見識の広がる場として、
この“映画.com”に感謝すると共に、
今後ともこの場を大切にしていきたいと
考えております。