あの子を探してのレビュー・感想・評価
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女性の魅力を引き出す、チャンイーモウの本領が発揮された作品
主人公の女の子の魅力を最大限に引き出しているのはチャンイーモウの本領発揮と言えるそれで、さすがの一言。常にムキになって課題に立ち向かう頑固な性格がガッチリめに描かれている。
映像美もまたチャンイーモウならでは。気が強くひたむきで生意気な主人公が必死で全力疾走する姿と、90年代とはとても思えないような中国の田舎の風景、というマッチングが印象的に何度も現れたが、そのどれもが同様に美しかった。
ただ、純朴さを描くが故にストーリーがシンプル(悪く言えば陳腐)であり、かつ「初恋のきた道」や「サンザシ」のような強力なスペクタクルも無く、動画というよりは美しいシーンをいくつか並べるためのストーリーのように感じてしまった。
主人公の必死さの動機が、金のためから生徒のために移り変わっていく状況説明が、テレビ番組側の美談に仕立て上げたいという意図にきっかけを得ていることもあって、なんか棚ぼたで得たものに浮かれてるようにも捉えられてしまい、ラストでいまひとつ素直に感動できなかった。
それでも、子供たちの笑顔や扱いづらさ、それに立ち向かう主人公の力強い姿が描ききれているだけでも十分良作だと思わせてくれるのが、チャンイーモウならではの演出力なのかもしれない。
【”貧しき農村の代用教員に一カ月だけなった女の子の責任感の強さとTVの前で流した涙・・。”チャン・イーモウ監督が当時の中国の学校事情をベースに描いたヒューマンドラマ。】
ー 農村の小学校でガオ先生の代用教員となった13歳の少女ミンジは、退学する生徒がいなければもらえる褒賞金目当てに、ひたすら生徒の監視を続けていた。
けれども、生徒達はミンジ先生の言う事をナカナカ聞かない。
そんなある日、クラスの腕白少年・ホエクーが、出稼ぎに出た町で迷子になってしまう。
ミンジはホエクーを捜しに町へ行く。ー
◆感想
・登場する貧しき少年少女達が何だかんだ言いながら、ミンジ先生の言う事を段々と聞いて行く姿が愛おしい。
・クラスの腕白少年・ホエクーがある日、学校に居ない事に気付いたミンジが皆に聞くと、
”町に出稼ぎに行った。”と言う答え。
彼の家に行くと、寝込んだ母が”借金が沢山あるから・・”と答える。
・何とか町に行ったミンジ。けれども、町の人達は冷たい。TV局に行けばよい、と教えられ行くが係のおばさんは局長の許しが無いと駄目!とツレナイ返事。
- 村と違って、町には沢山人が居るが・・。ミンジは局長に会うために二日も待つ。客の食べ残しを食べたミンジは街路樹に寄りかかって寝てしまう。-
・事情を聞いた局長は、規則規則と行っていた係のおばさんをキツク叱り、ミンジは無事TVに出演するが、言葉が出ない。
- このシーンで、ミンジが涙を流しながら”ホエクー、何処にいるの。心配で堪らない・・。”と言うシーンは沁みる。ー
・その姿を、食堂で見たホエクーも泣き出してしまう・・。
<チャン・イーモウ監督が当時の中国の貧しい地域の教育事情をベースに描き出したヒューマンドラマ。
ミンジが必死になって、ホエクーを探す姿が切なくも、愛しく思えてしまう作品である。>
格差社会
50元って現在の日本円でいくらなんだ?バス代が片道20.5元、少女が出稼ぎで一日2元。よくわからない通貨価値だ。この数字にからんで、教室みんなで計算するシーンが好きだ。思わず計算してしまったが、元の下の単位が角というのを初めて知った。
こういう現実もあるんだということを認識させてくれる。中国って奥が深い。だけど、中国に限ったことじゃないだろうな、と考えさせてくれる。都会の生活に慣れ親しんだ人たちにとって僻地の生活・教育の実情なんて誰も知らないし、貧富の差なんてどこの国にだってある。
この当時はまだ“格差社会”って言葉が浸透してない時代。日本もそのうちこんな風に・・・
近代化への道半ばの中国のお話。13才が小学校の代用教員、広い中国で...
近代化への道半ばの中国のお話。13才が小学校の代用教員、広い中国では今でもありそうに思えてしまう。そんな彼女の奮闘記。
中国の人々が逞しいのがよく理解できる。そらそうなるわな!納得です。
テレビ局の受付のおばさんがTHE中国人です。どうやら口喧嘩はしないほうがよさそうです。
これは決して悪い意味ではありません、誤解のないようお願いします。日本にもそんな時はきっとあったと思います。
コメント、難しいですね。今の時代、冗談が冗談でなく一人歩きしそうで(笑)
カラフルな色のチョークで皆が一文字ずつ綴るエンディング、素敵な未来を予感させます。
素人だけでもチャン・イーモウなら賞が取れる。
世界3大映画祭を制したチャン・イーモウに2度目のヴェネチア映画祭金獅子賞をもたらした感動作。1回目は「紅いコーリャン」だ。全員が素人というキャストに吃驚だが、最後にはしっかり感動させてくれる。
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