劇場公開日 1955年9月14日

「気が腐っているときでも、本作を観ればきっと心が晴れるそんな映画です」足ながおじさん あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5気が腐っているときでも、本作を観ればきっと心が晴れるそんな映画です

2019年7月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

巴里のアメリカ人のレスリー・キャロンが、今度はフレッド・アステアとアメリカを舞台にして撮った作品です

あしながおじさんという言葉は誰もが知っていますが、本作はあまり有名では無いようです
フレッド・アステアは56歳、レスリー・キャロンは24歳
32歳の歳の差の男女の物語を描きますが、ひとつ間違うと劇中で在仏アメリカ大使が激怒するような不道徳なお話になるところですが、そこはやはりフレッド・アステアの清潔性がそれを打ち消しています

このものすごい芸達者の二人が登場するのですから、歌と踊りのシーンはそれは見事なものです

演出も良く、冒頭のギャラリーのシーンで印象派の絵画の紹介から入ることで、ミュージカルシーンでの絵画的な書きわりセットやドガの絵画を思わせるオペラ座の楽屋シーンの伏線にしているだけで無くて、さらにラストシーンに繋げてくるのも中々の計算で心憎いです

美術も優れていますが、特に衣装は見事でダンスと共にドレスの裾が美しく揺れる、回転すれば舞い上がって翻る様は、その軽い素材感、デザイン性、色彩感覚の優れていることには本当に感嘆しました

もう少しミュージカルシーンがあればなあと、もの足らない気分になるのが残念なものの、見終われば気が腐っているときでも、本作を観ればきっと心が晴れるそんな映画だと思います

あき240