悪魔の発明のレビュー・感想・評価
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もうひとつの海底二万マイル
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子供のころからジュール・ヴェルヌの冒険小説に胸躍らされ、崇拝してやまないというチエコのカレル・ゼマン監督が映画化した海洋冒険物語。原作は「国旗に向かって(1896)」だがもうひとつの「海底二万哩 (1870) 」にも思えるプロットである。
見どころはアニメータでもある監督が小説の挿絵さながらのアニメーション手法で実写映像化、特撮部分だけでなくセットまで思い切った書割風、CGに慣らされた目から見るとモノクロ描写と相まって新鮮に見えもする、加えてノーチラス号の原型のような潜水艦、お約束のオクトパス、孤島の秘密基地、奇天烈な発明品の数々も登場して目を愉しませてくれます。
物語は、莫大な資金と設備を持つ大海賊が新エネルギーの研究者ロック博士と助手のハルトを誘拐、カリブの孤島・秘密基地で新型爆薬の開発をさせます、なんとか阻止しようとするハルト、海賊たちの企みと基地の場所はバルーンで流した手紙で運よく知らせることに成功したものの艦隊を向かえ撃つべく海賊達の軍備増強も抜かりはありません、果たして博士やハルトは助かるのでしょうか・・。
悪魔の発明品と言うと原爆かと思うかも、でも時代は19世紀なので日露戦争でも使われたピクリン酸爆薬らしい、ロック博士のモデルになった科学者がジュール・ヴェルヌを名誉棄損で訴えたというエピソードがあります。古いモノクロ映画で独特の味わいが好みに合うか、テンポもゆったりとしているので今風の海洋冒険ものを想像すると別世界、古典SFを観たいというファン以外には微妙な作品かもしれません。
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