劇場公開日 1994年8月13日

「言葉は不要不急。」青いパパイヤの香り はるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0言葉は不要不急。

2020年5月14日
PCから投稿

蒸し暑い、眠りがなかなかやって来ない夜。時々涼しげな風が吹き込む。
風があるから耐えられるわけではない。この蒸し暑さに・・・・
セリフがほとんどない映画。いや、人の暮らしに言葉など必要ではない。男も女も交わす言葉で傷つけ傷つき淡々と生きている。そんな現実をそのまま映画にしてしまっている。
観るものを惹きつけ思考速度を加速させてくれた。
軟弱で疲れる今の世間は影であれ日向であれ不満に満ち溢れた言葉だらけだ。
誰もが主張できるのは悪いことではないが、周辺の人々はそんな言葉に耳をかさない。
同じ程度の辛さに共感し、特出した幸せや哀しみは排除し異端者として侮蔑のまなざしを向けるだけだ。そんな醜さに気づきもせず、人に与えられることが幸せだと思ってしまっている。浅ましいくも卑しい。そんな心根を嘲笑うかのようにこの映画は作られたのではないかと思ってしまう。
心の中の邪悪な気分が邪な行動を推進させようとしたら、
周りの人々に自分のすべてを与える様にしよう。

はる