「【”目に入った煤を取ってくれた彼。”今作は家族ある女がふとしたきっかけで同じく家族持ちの医師と疚しい心を抱きつつ恋に落ち、やがて別れる様を気品高く描いた恋愛映画である。】」逢びき(1945) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”目に入った煤を取ってくれた彼。”今作は家族ある女がふとしたきっかけで同じく家族持ちの医師と疚しい心を抱きつつ恋に落ち、やがて別れる様を気品高く描いた恋愛映画である。】
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■夫と2人の子供と幸せな生活を送るローラ(セリア・ジョンソン)。
毎週木曜日に町まで買い出しに行き、映画鑑賞や食事をするのが習慣の彼女は、ある木曜日の夕方、目に入った列車の煤を医師のアレック・ハーヴェイ(トレヴァー・ハワード)に取り除いてもらう。
その後何度か顔を合わせるうち、2人は自然と惹かれあっていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・時代的なモノもあるであろうが、二人は恋に落ちつつも関係はあくまでも精神的な繋がりである。
■ローラが疚しい思いを持ちながらアレック・ハーヴェイへの恋心を抑えきれずに、共に映画館で映画を見たり、公園で舟に乗ったり、ランチを共に摂ったりするときの幸せそうな表情。
だが、彼女はアレックと別れた後に、心の揺れに襲われるのだが、それをローラを演じたセリア・ジョンソンが切ない表情とモノローグで絶妙に綴るのである。
・同じく、アレックもローラとの毎週木曜日の逢びきを愉しみつつ、彼女との禁断の恋に悩んで行き、彼女と別れ兄が開業したヨハネスブルグの医院へ行くことを決意するのである。
<ラストも切ない。駅の待合室で最後の別れの言葉を交わす二人の前に、冒頭にも表れたお喋りなドリー夫人が現れ、二人はキチンと別れの言葉を交わすことなく、アレックはそっとローラの肩に手を置き列車に乗って去るのである。
ローラは”きっと戻って来るわ。”と思いつつ、咄嗟に列車に飛び込もうとするが思いとどまり、家に帰るのである。
ローラの夫フレッドはそんな彼女の表情を見て、優しく言葉を掛けるのである。
今作は家族持ちの男女の禁断の恋に落ちる様と別れを、格調高く描いた作品なのである。>
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