「圧倒的な感動に包まれて号泣しそうになりました」愛と喝采の日々 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な感動に包まれて号泣しそうになりました
1977年の「愛と喝采の日々」と1983年の「愛と追憶の日々」
邦題が似ているし、どちらもシャーリー・マクレーンが主演なので混同されがちです
そして本作の方が忘れ去られがちの作品になってしまっています
でも本作は誰がなんと言おうと名作です!
アカデミー賞に10部門もノミネートされました
でも結局その年は「アニー・ホール」が圧倒的に強くて結局無冠でした
けれども本当なら何部門も受賞しておかしくない作品です
前半こそ、少し退屈するかも知れません
でも後半になるとその前半の伏線がどんどん活きはじめて終盤は圧巻の展開となります
特にパーカウンターでの口喧嘩から、表にでてパタパタと二人で叩きあって、大人の女二人の本音をぶつけあい、しまいには笑い合うシーンは名シーンとして、あなたの心に長く残るものになると思います
確かにバレイの映画です
でもそれだけがテーマではありません
女性の一生、人生の分かれ道、女どうしの友情、女としての自分、母としての自分、娘の大人への成長、母と娘の心情のすれ違い、夫婦の絆
そういったことが普遍的な物語となっているのです
だから胸を打つのだと思います
現代では仕事に真剣に打ち込んでいる女性は普通のことですですから、この物語はより多くの人の心に刺さるものになっていると思います
シャーリー・マクレーン 43歳
「アパートの鍵貸します」は26歳の時の出世作
それから17年ですから、劇中の彼女がプリマだった頃からの時間と同じくらいです
アン・バンクロフト 46歳
「ノックは無用」は21歳の時のデビュー作
シャーリー・マクレーンより年上なのに彼女の体型や美貌は、バレイの現役スターとしての説得力が十二分にある輝きです
しかし、中盤ともなると年齢相応の衰えもまた説得力があります
潮時を知り現役を去れと宣告され、そしてまた長年の金持ちのの後援者の初老の男との不倫も終わってしまうのです
懸命に働き続けてトップランナーでいたのに、一体自分には何が残ってるいるのか?と虚しさを味わう様は残酷です
劇中では田舎の地方都市でバレイ教室をしていても、3人もの母となりもう体型が崩れてしまって中年女性となったシャーリー・マクレーンとの対比が効いています
もちろんバレイシーンも、公演シーンや練習シーンまでどれも圧巻です
素人目でも物凄いものだと一目でわかります
肉体の芸術だと納得です
男前で女たらしのユーリ役はミハイル・バリシニコフという世界的な名ダンサーだそうです
娘のエミリア役のレスリー・ブラウンの美しさは特筆もの
透き通るような白い肌とはこのこと
幼少期からバレイの鍛錬をしてきた女性特有の細い均整のとれた骨格
大きな突き刺すような青い目
じっと見つめていたい磁力を発しています
記念公演で大成功をおさめ、なんどもカーテンコールに応える彼女
それを見守る彼女の母とその元ライバルにして一番の親友の女二人
自分たちの時代から、新しい世代へのバトンは受け渡され、新しいスターが誕生したのです
すべてが終わり客席もはけて、真っ暗なステージでその二人は真の友情を噛み締めて肩を抱き合うのです
原題はターニングポイント、人生の分かれ道
どちらが正解とはわからない
どちらが勝ったとも負けたとも言えない
それぞれの道を一生懸命に生きてきた
二人には友情だけが残り、次世代へのバトンが渡せたのです
ディーディーには、今はまだ野球に夢中な男の子も、こましゃくれた次女もいます
きっとこの子どもたちも期待に応えて育って行くに違いないのです
圧倒的な感動に包まれて号泣しそうになりました
名作です!