「近代版 白鳥の湖」哀愁 鯖さんの映画レビュー(感想・評価)
近代版 白鳥の湖
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白鳥の湖 において、ヒロインを殺したのは魔女の呪いです。
waterroo bridge において、ヒロインを殺したのは 尊厳という呪いです。
現在のバレエは 芸術として高い水準の文化として認知されていますが、戦時中はそうではなく、バレエダンサーは水商売の様な扱いを受けていました。
作中ではあまりバレエの歴史は出てきませんが、そういう目線で見ると 面白いです。
直接的なバレエの話ではありませんが、ヒロインの行動や考えの軸にあるものは、当時のバレエの在り方だと思います。
なぜ 生きることが優先される時代に、ダンサーは貞操を守る必要があるのか。
階級や職種を越えて、2人の人間が同じ立場になるにはどうすればいいのか。
そういうのを守ることが、果たして人間としての尊厳なのか。
現代に暮らす私たちは、平和になったはずなのに、むしろ 人間の尊厳 という部分においては、めしいになっているきらいがあります。
それどころか、逆に 当時で言えば尊厳にあたるものを、失うか 或いは 奪うか する事に価値観を抱いている部分があります。
現代人の言うところの、勝ち組 という言葉に表されるように。
悲劇 と言えば この映画はそれまでですが、これが悲劇なら私たちはもっと悲劇なんじゃないですか?
この映画を見て、私は好きという気持ちをもっと大事にすべきなんだ、と思いました。
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