幽霊男
劇場公開日:1954年10月13日
解説
講談倶楽部に連載された横溝正史の探偵小説を、「青春ロマンスシート 青草に坐す」の沢村勉が脚色し、「家庭の事情 ネチョリンコンの巻」の小田基義が監督する。撮影は山田一夫。「やくざ囃子」の河津清三郎が主人公金田一に扮し、「此村大吉」の田中春男、「関八州勢揃い」の岡譲司のほか、三条美紀がはじめて東宝映画に出演する。
1954年製作/72分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1954年10月13日
ストーリー
吸血画家津村一彦が気狂病院から脱走した記事が新聞に出たころ、銀座裏のヌード・クラブに加納博士の紹介状を持った佐川幽霊男と名のる男が、油絵のモデルを頼みに来た。モデルの恵子が選ばれて行ったが、いつまでも帰らないので、居合せた連中が西荻窪のアトリエを探してみると、恵子は浴槽の中で殺されていた。翌日クラブに突如テープレコーダーの声が流れて来た。「第一幕が完了し二幕目に取りかかる」。その夜、美津子は幽霊男にさらわれ、全裸のまま白い繃帯で顔を包んだ彼にキャメラで撮影されたが、浩吉と当局の手で救い出された。その結果、浩吉の証言で幽霊男と津村とは別人であることが判った。数日後伊豆で行われた撮影会で、貞子が池の中で殺された。そこに突如現われた金田一は、一同を一室に集め、等々力警部と二人で厳重に調べた。そのとき同じホテル内でマリが殺され、更に数日後例のアトリエで美津子が殺される。金田一と等々力はその場で発見した加納を連行しようとしたが、不意に現われたベールの女に彼を攫われた。連続殺人に気をくさらした鮎子は建部の反対を押切り、ストリッパーに転向した。しかも彼女まで舞台の上で誰かに殺されてしまう。世間が騒然たるとき、例の隠れ家では、加納と黒いベールのマダム絹子が幽霊男のために縛られ、猿ぐつわをはめられていた。この男はマダム絹子を加納から奪って自分のものにするため、モデルを殺して加納に罪を被せようとしたのだ。マダムは彼のためドレスを被られ、危いところにカーテンのかげから金田一が颯爽と拳銃を片手に現れた。幽霊男は屋上にのがれたが、追いつめられ身を地上に投じて死んだ。白い繃帯に包まれたその顔は、加納や建部らと共にクラブの仲間であった実業家菊地陽介だった。