劇場公開日 1975年8月9日

黒薔薇昇天のレビュー・感想・評価

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4.0映画関係者は全員見るべし!

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ロマンポルノは最近言われるほど名篇が多いわけじゃないけど、これはまぎれもなく快作。出だしからいきなりセンスありありで、演出と編集のリズムが崩れない。カメラは姫田真佐久(豚と軍艦・にっぽん昆虫記)、編集は鈴木晄(太陽を盗んだ男・セーラー服と機関銃・伊丹十三の大半)。ゴンドラで女をかきくどく男、狭い畳部屋でブルーフィルムを上映しながら暗がりで抱きあう二人、動物園でだらしなく抱きあう男女のそばを幼稚園児の列が通って行くシーン、どれもこれも秀逸。やぶれかぶれの青春を、しかし独りよがりではなくフィルムに収めている。

道頓堀の雑踏をゆくチンピラ男にあわせたダウンタウンブギウギバンドの「賣物ブギ」なんか最高。ある意味では、ユスターシュ『サンタクロースの眼は青い』とかグラウベル・ローシャの幾つかのように、製作環境の限界と作り手の感性が作りあげた秀作と同じ水準に到達している。

いま映画を撮ろうと思っている若い人は全員見るべし。ここには自主製作映画をダサくなく作るヒントが溢れている。(しょうもないエロくもないバカ映画を撮りつづけている荒井晴彦みたいな厚顔老害も、しっかり見直して棒に振ってしまった己の人生を省みるべし)

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milou
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