プロジェクトY ゆふいん after X

劇場公開日:

解説

温泉地として知られる大分県湯布院町。2004年1月に行われた湯布院町議選を追いかけたドキュメンタリー。監督は、日本大学芸術学部入学後、自主映画を制作してきた22歳の楢本皓。よそ者の若造が古くて小さな町に飛び込み、熱気と混乱に包まれた選挙戦の模様を新人候補3人の活動を中心にカメラを回してゆく。

2004年製作/82分/日本
配給:プロジェクトY
劇場公開日:2005年2月12日

ストーリー

大分県湯布院町。前町長の逮捕をきっかけに、湯布院の人々は沸き上がってくる行政への不信感から将来への不安を抱き始める。2004年1月の町議会議員選挙を間近に控えて、“何かをしなければならない”“選挙は湯布院を変えるきっかけだ”と多くの町民が思い始める。しかも、湯布院には残された時間がない。2005年3月、市町村合併特例法期限が迫る。何か行動を起こさなければ―。さもなくば、町名が変わってしまうかもしれない―。湯布院をどうするのか?真っ正直に考え、真っ向から立ち向かった3人の若者たちがいた。小林華弥子:1ヶ月のつもりで東京からIターンでやってきた。湯布院在住7年目。/浦田龍次:地元出身。酒屋店主であり、平和市民運動の旗手。/太田洋一郎:家業の床屋を継ぐ傍ら役者としての顔を持つ地元若衆の兄貴分。たすき、はちまき、選挙カー。2004年1月17日、3人を含む新人9名が町議会選挙に出馬を決めた。定数15名の枠に対して、新人9名を含む16名が立候補して、選挙戦がスタートした。湯布院が胎動をはじめる。1月20日、いよいよ6日間にわたる選挙戦が始まった!30代の若手候補三人が目標に向かって突き進む。選挙カーから手を振り、自分の足で走る。有権者の目を見つめ、「自分に投票を」と熱意を持って、強く手を握る。情熱をかたむけて動くことで、当選を勝ち取ろうとする。町民の希望と情熱をあざ笑うかのように、ものごとは複雑でなかなか前進しない。カメラに見つめられ、マイクを向けられた人々は、苦悩をあらわにし、重い口を開き、将来への不安、地区同士のいがみ合い、農商業者と観光業者とのしがらみなどを語りだす。覆い隠されるはずであった静かな感情がフレームをおおう。のどかな田園風景、にぎわう温泉郷、辻馬車に喜ぶ子供―美しい自然と豊かな温泉に対して、現実的な、選挙、合併、米軍、観光など、日本の市町村のどこに行ってもある問題が、何層にも積み重なる。しかし湯布院は、自らの手で未来を切り開こうと奮闘する。登場人物が希望に向かって右往左往する姿が、観客の心と身体の導火線に火をつけていく。

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