「大人向けONE PIECE」ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島 77さんの映画レビュー(感想・評価)
大人向けONE PIECE
ONE PIECEの映画は一通り全部観てるのですが、気になって最近また見直した作品。
異色の作品と言われてるだけあって、作画もお話も他のものとは一線を画するものになっています。
監督が時をかける少女やサマーウォーズの細田さんだと知って点と点が繋がったように納得。
とっても「らしい」演出で良かったです。
序盤はタイトルから想像できるようないつも通りの楽しい一味。
まずいつもと違った衣装(着替えた後も)がいい!
そして男爵の思惑通りだんだんと仲間割れしていく一味。
いくらキレててもそれはしないんじゃない?って行動が多かったので
(サンジがご飯を食べさせない、ナミの過去を知ってるウソップが「裏切りはお前の十八番」など)
そこはひっかかりました。
男爵が心を操るのがうまいといってもあの描写だけじゃ簡単に揺らぎすぎな気がします。
そういう能力者、みたいな設定があった方が納得できたかも。
そしてこの話のメインは4人の船長が仲間を失った時、失いそうな時、守りたい時それぞれどう動くか、というもの。
一つの船で苦楽を共にしてきた仲間は何よりも大切なもの。
仲間への愛ゆえに奪う、耐える、戦うなどいろんな選択肢があって
自分ならどうするだろう、みたいなことを考えながら観ていました。
大大大好きなONE PIECEですが
私はONE PIECEの仲間以外(というかモブ)の死を規模やスケールを表すために軽視しがちなところがちょっと苦手なのですが、
アラバスタでもエニエスロビーでもインペルダウンでもたくさんの犠牲があったはずで、
その上にルフィがいるのに(しかもエニエスとインペルは首謀者)どこが死なない漫画なんだと思ってましたw
博愛なルフィが見たいわけじゃなくて、ONE PIECEは善悪や固定概念について考えさせられる話なので、
仲間の為ならなんでもあり、他はどうでもいい、という時だけ「俺達は海賊だからな」は違う気がするのです。
例えば海賊なのになんで略奪しないの?という疑問そのものがもう固定概念に囚われてて、
海賊の定義もイメージも人が考え植え付けたもの。
海賊だから「悪」なんじゃなくて悪いことをするから「悪」。
ルフィは善も悪もなく自由を求めて海賊の道を選んだのにそういうときだけあんたが言葉通り(ONE PIECEでいうところの政府(正義)にとっての悪)の「海賊」を使ってどうする!と思うのです。
ルフィにとっては目的さえ果たせればそういうまどろっこしいこと(善とか悪とか、政府に都合の悪い事実を歪曲されることとか、世間の目とか)はどうでもいいことだと思うのでルフィというより尾田さんへの疑問ですねw
ルフィはどんな憎たらしい敵も今まであやめてない(それがルフィにとって重要じゃないからそこは全然いいのですが)にも関わらず、同じように大事な仲間や家族はいるモブは簡単に死んでしまう。
敵も味方もメインは無事でそこには触れないと「仲間のため」という言葉に重みや説得力がちょっと欠けてしまってる気がするのです。
かなり長々と横道にそれてしまいましたがw、仲間のために色んなものを犠牲にするのは果たして「仲間のため」なのか「自分のため」なのか。
男爵もルフィも「どっちも」だと思います。
意味合いや賭けるものが違うだけで。
上で長々と語りましたが自分がルフィの立場になったら結局他は目に入らないのかもしれません。
ただ男爵のような選択はただただ悲しいだけですよね。
本当に大人向けの作品だと思います。
ONE PIECEに今までなかった「グロ」の刺激は子供は泣くレベルw
でも最後のニッて笑うルフィを見るといつも以上に本当に安心感でいっぱいになって癒されます。